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粘土の立体構成に必要な道具や制作の流れ

粘土の立体構成で必要な道具

水粘土

美大受験の際、粘土の立体構成に必要となるのが水粘土です。「土粘土」や「彫塑(用)粘土」という名称でも知られており、造形しやすいように粘土鉱物をふるい分けして調整されているため、きめ細かいのが特徴。水で戻せば繰り返し使用できます。また対照的な粘土として油粘土が挙げられます。

受験では凹凸が見やすいグレーの色味が用いられるケースが多いため、美術大学対策をしたい場合は水粘土を使用した練習を行うと良いでしょう。

なお水粘土は空気が含まれていたり、芯材を使用するとひび割れを起こす場合があります。また水分や素材などの性質からカビが生えやすいため、保管には注意が必要です。

粘土板

粘土板には木製、ゴム製、プラスチック製があり、それぞれ扱うのに適した粘土が異なります。水粘土の立体構成には、水分を吸収しやすい木製の粘土板がおすすめです。ただし木製の粘土板はカビが生えやすいので、板の上で水粘土を放置しないように気を付けましょう。

また粘土板として、ホームセンターで購入した木材をカットして使用するケースもあります。その場合、木材は水分を吸うと反ってしまうため、変形しにくい合板を選ぶと良いでしょう。加えて造形のしやすさから表面が綺麗な素材、特にシナを選ぶのがおすすめです。

ゴム製のものは、小学生のとき図工の授業などで使用したカッター板を指します。手入れのしやすさと、柔らかく扱いやすい点が特徴。紙粘土や油粘土に向いた素材です。プラスチック製の粘土板は表面がツルツルしており、樹脂粘土で細かい作品を作成する際によく使われます。作品を綺麗に仕上げられる一方で、厚みのあるものは重いという特徴があります。

定規

定規は正確な図形を作る上で欠かせない道具です。定規と聞くと紙の上で使用するイメージが強いかもしれませんが、粘土の立体構成でも役立ちます。例えば円柱を作成する際に、側面を作る場面で定規があると便利です。メモリでサイズを測ったり、まっすぐな直線を作ったりと、定規を活用すればズレの少ないパーツを作りやすくなるでしょう。

粘土ベラ

粘土ベラにはさまざまな種類があります。素材として主流なのは木製・プラスチック製・金属製です。使うべきヘラの素材は、使用する粘土や目的によって変わります。素材ごとの特徴を知っておくことが大切です。

木製のヘラは大きい形状が多いため、最初の工程として粘土を形作るのに適しています。厚みがあり握りやすいのも特徴の一つです。ナイフ形のものがよく使用されますが、用途に合わせて使い分けられるよう、他にもいくつか異なる形状のものを持っておくと良いでしょう。

プラスチック製の粘土ベラは小さいものが多く、細かい作業をする際に向いています。木製ヘラよりも薄くて柔らかい点が特徴。大きさや厚みがないため持ちづらさを感じる場合もありますが、木製よりも安価で入手できます。子どもが遊ぶ際にもよく用いられる道具です。

大きな粘土の塊から粘土を切り出す際に向いているのが金属製です。他の素材と比較して高価であり、また専門性も高いため一般的にはあまり使用されません。手入れを怠ると、粘土の水分で錆びやすいため注意が必要です。主に彫刻や、大きな作品を作る際に使用されています。

ゴムベラ

粘土の表面を滑らかにするときに使われるゴムベラ。一般的に板状のものが使用されます。ヘラの跡が残りにくく、凸凹した面を平らにしたいときに用いられる道具です。粘土以外にも、彫刻や陶芸などで使われています。

切り糸

粘土の塊から切り離す際に使う道具として、切り糸(しっぴき)と呼ばれるものがあります。使われる素材はタコ糸・テグス・ステンレス線など様々です。割り箸を利用して自作もできます。

また切り出しを行うだけでなく、糸の引き方で形状にニュアンスを出すことも可能。まっすぐに引けば切り口は平らに、上下に動かせばギザギザになります。いろいろな動かし方から表現を生み出せる道具です。

回転台

回転台は必ず用意する道具というわけではありませんが、あると便利な道具です。粘土の立体構成は、どの角度から見ても問題ない作品であるかが重要。回転台があれば、自分が動かなくても様々な角度から作品を確認できるため、机の上でも作業をしやすくなるでしょう。

粘土の立体構成の制作の流れ

粘土の立体構成にはある程度決まった制作の流れがあります。大きく分けて、構成を考える段階・制作する段階の2つです。作品の精度が上がりやくなる立体構成の流れを以下にまとめました。

アイディアを出す

最初にしなくてはならないのがアイディア出しです。出された課題がイメージ構成か、モチーフ構成かによってやり方は変わってきます。

イメージ構成だった場合、作品には特定のモチーフではなく「季節」や「文房具」などのテーマが与えられます。テーマに沿った・関連した内容を、自ら考える必要があるのです。考え方によっては、自由に作品を制作できるとも言えます。

イメージ構成は連想ゲームに近く、ときにはテーマから思いつく言葉がいくつもあるかもしれません。しかし表現の難しさや制作にかかる時間を考えると、モチーフはある程度絞った方が良いでしょう。またテーマから離れすぎてしまったりする可能性もあります。10個ほど思い浮かんだらそこでストップし、そこから3つ程度に絞るのがおすすめです。シンプルな思い付きの方がテーマが伝わりやすいため、あまり奇抜なものは避けた方が得策でしょう。

一方モチーフ構成の課題では、何かしらモチーフが与えられ、それを組み合わせて作品を作ります。モチーフ構成を成功させるポイントは、モチーフの特徴を見つけること。モチーフの素材の特徴や活かしたいポイントを見つけられれば、組み合わせやすくなります。特に複数のモチーフを組み合わせる場合は、重さや質感の対比がカギになるでしょう。

なおデザイン学科ではイメージ課題が、工芸家ではモチーフ構成が出される傾向にあります。とはいえ年度によっては、傾向が変更される場合も。どのような課題が出されても対応できるよう、さまざまな課題に触れておくことが大切です。

構成を考える

アイディアを出したら次は構成を練ります。アイディアから広がる構成のパターンは無限大で、この段階で仕上がりに差がつくと言っても過言ではありません。

構成を考える際はエスキースを作るより、まずマケット(試作)を作ると良いでしょう。頭の中でイメージしたときは良く思えても、実際にマケットを作って確認してみると、紙面では分かりづらい問題点が浮かび上がるかもしれません。いろいろな角度から見て構成を考えることで、完成度の高い仕上がりに近づきます。

制作にとりかかる

構成が決まったら制作に取り掛かります。制作中に気を付けたいのが、多角的な視点からチェックすること。正面だけ見て制作するのではなく、どの角度から見てもバランスの取れた形になるよう心がけましょう。制作の途中でも気に入らない・バランスが崩れたなどの箇所があれば、構成から見直すことをおすすめします。

加えて注意したいのが明暗のコントラストです。粘土の立体構成において、明暗のコントラストは重要な要素です。作品の立体感は陰影によって生まれます。陰影の黒を演出できるかどうかがポイントです。

また重さも表現に欠かせない要素の一つと言えます。モチーフの重さは、作品のおもしろさや魅力を伝えるうえでのカギです。地面との設置やほかのモチーフとの兼ね合いも、重さで表現できます。例えば布や紙の軽さを表現するには、地面にモチーフを全面的につけるのではなく、少し浮かせるのが効果的。重いものは下に沈み、影が濃くなります。そのような性質に注意して立体作品の制作を行えば、作品に説得力が出るでしょう。

自分で講評してみる

作品を制作したあとは、自分で講評してみると良いでしょう。できるだけ客観的な視点から講評することで、自分の作品の魅力や強み、成長した部分、問題点が分かりやすくなります。他の作品と並べてみたり、過去の作品と見返したりするのもおすすめです。

粘土の立体構成のチェックポイント

課題から離れていないか・どこから見てもきれいな仕上がりになっているか・明暗のコントラストがあるかなどが、粘土の立体構成をした際にチェックしたいポイントです。イメージ構成の場合は作品を一目見るだけでテーマが分かるか、モチーフ構成の場合はモチーフの特徴を的確に捉えられているかも確認してください。細かい部分を数えだしたらきりがありませんが、上記に挙げたポイントだけでも押さえておけば仕上がりの質が上がるでしょう。

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