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ここでは、デザイン科入学に必要な実技試験や対策の内容、学科のみで受験できる美大についてご紹介します。
デザイン科の実技試験で行われている主な試験方法は、以下の3つです。
デザイン科の実技試験に限らず、多くの学科・コースで採用されている試験課題が「デッサン」です。デッサンの試験では、ものの形を十分に理解できているか、基礎的な描写力はあるかといった点を見られます。
デザイン科で主に課せられるのは「鉛筆デッサン」で、一般的に3〜5時間ほどの試験時間内に、デッサンを1枚完成させるという形式になっています。学科によってモチーフとするものも様々。用意された物や人を描くパターンや、想像で描くというパターンがあります。
想像で描くパターンの例としてあげられるのは「○○している手を想像して描きなさい」といったように、題材が文章で指定されるもの。このパターンでは、目の前に置かれるモデルを正確に把握したり、適切に描写する能力のほかに、場面や物などをイメージする力も必要になるでしょう。
学科によっては、完成させたデッサンに着彩するケースもあります。
アクリルガッシュやポスターカラーを使い、1枚の作品を完成させる試験課題です。別名「色彩構成」といいます。
平面構成のパターンは大きく分けて2つ。丸と四角を使い、決められたキーワードに沿って構成するといったパターンと、用意されたモチーフの配置や構図、色などを自分で自由に決めて描くというようなパターンがあります。
ポスターを作る課題や、単語のイメージを何種類か構成するといった課題が出されることも。
大学や学科によって出題傾向は異なるので、志望校の過去問を検索するなどして、傾向をつかんでおきましょう。
国公立の芸術大学でよく出題される試験で、紙や粘土などを使って立体作品を完成させるものです。モチーフを粘土で模刻する課題のほか、与えられた単語からイメージし、紙で立体を構成させるような課題が出される場合もあります。
デッサンの実技試験では、モチーフの形や陰影を正確にとって描くことがポイントです。あらゆるモチーフを描くつもりで、デッサンの数をこなすことも対策の一つとして有効でしょう。試験でどのようなモチーフが出題されても、普段通りにデッサンできる自信をつけられるだけの経験を積むのが理想です。
モチーフの形を取りにくい場合は、普段から周りの物をじっくり観察する癖をつけると良いでしょう。特によく出題されるモチーフや手などは、時間の許す限りスケッチを重ねましょう。
風景や花、人物の写真や雑誌の切り抜き、フライヤー、ポスターなど、自分が気に入っているデザインを集めて資料を作成するのもおすすめです。想像してデッサンを描く試験課題が出題された時や、平面構成のアイデアを練るときにも役立ちます。
苦手な部分の練習も大切ですが、デッサンや平面構成など実技試験そのものや、得意なモチーフ、色使い、表現技術など、自分の得意な部分を見つけられると、自信につながります。自分の得意を、武器としてしっかり磨いておけば、他の受験生に差をつけることもできるでしょう。
「デザイン」領域は、以下の5つのカテゴリーに分けられます。
ポスターや広告、イラストレーション、雑誌のデザイン・編集など、主に平面媒体のデザインを行うのが、平面系のデザイン領域です。一般に「デザイン」というと、この平面系のデザインをイメージされる場合が多く、受験生からの人気も高い領域であるため、必然的に倍率も高くなっています。
平面系のデザイン領域は、それぞれの大学で学科名が異なります。例えば、タマビでは「グラフィックデザイン学科」、ムサビでは「視覚伝達デザイン学科」、東京芸大では「デザイン科」が、平面系のデザイン領域に。
各美大によって教育課程や履修科目は異なりますが、ビジュアルコミュニケーションデザインの基礎から、表現の応用、より高度な専門知識や表現技能へと履修していきます。
インテリアやディスプレイ、建物の内部といった空間や、公園、都市計画などの外部の空間をデザインする領域です。
タマビには「演劇舞踏デザイン学科劇場デザインコース」と「環境デザイン学科」、ムサビには「建築学科」と「空間演出デザイン学科」があります。芸大では「デザイン科」にて空間系のデザインを学べます。一口に「空間」といっても、細かく分けると専門領域が異なるため、自分の目指す空間領域を扱う大学を探すことが重要です。
一般的に1年次にデザインの基礎知識を学び、2年次や3年次から「インテリアデザイン」や「建築」、「舞台美術」、「ファッション」といったそれぞれの専門コースを選択する大学が多いです。
家電や車などの大きなものから、雑貨、文具、おもちゃ、ファッションなどの生活に欠かせないものに至るまで、ほとんどの立体物は、立体系のデザインにおける専門領域となります。
タマビで立体系のデザインを扱う専攻科は、「プロダクトデザイン専攻」と「テキスタイルデザイン専攻」、「工芸学科」。ムサビでは「工芸工業デザイン学科」、芸大では「デザイン科」と「工芸科」が立体系にあたります。一つの学科に「陶芸」や「金属」、「ガラス」など、より専門性の高い領域を学べるプログラムが設けられている大学も。
立体系デザインの専門領域は、他のデザイン系の専攻より多様で、「インダストリアルデザイン」や「インテリアデザイン」、金属・木工・陶磁・ガラス・テキスタイルなどを扱う「クラフトデザイン」まで、より専門性の高い領域を学べます。
CGやWebデザイン、ゲーム、映像などのデジタルコンテンツをデザインする領域です。Webサービスやソフトウェア、アプリケーションなどの製品・サービスと、それを利用するユーザー、さらにその接点すべてのデザインを行うことを「UI(ユーザーインターフェイス)デザイン」といいます。情報系デザインは、Webサイトやアプリを使いやすくデザインできるようになるのが目的です。
情報系のデザイン領域には、「UIデザイン」を主としたデジタルコンテンツのデザインを学ぶ専攻や、ビデオやアニメーション、映画、ドラマの企画・制作を学べる専攻などがあります。
平面系や立体系のように特化した領域ではなく、社会のさまざまな問題に対して、デザインで提案を行うのが総合系のデザイン領域です。「企画」や「ディレクション」を行うことが専門と捉えておくと良いでしょう。
総合系デザインは、デザインのすべての領域で活躍できる「企画力」や「プロデュース力」を身につけることを目標とした専攻です。
大学によっては、1、2年次にデザインについて幅広く学び、3年次から「情報デザイン」や「グラフィックデザイン」など、各専門領域に分かれるところもあります。
ここでは、入試において実技試験が課せられない美大の学科・専攻をご紹介します。