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美大受験において避けては通れないデッサン。しかしながらデッサンが嫌い・苦手という人が多いのも事実です。
ここでは、どうしてデッサンが必要なのか、また楽しめない理由を考えてみましょう。少しでもデッサンに対して前向きになれたり、デッサンを楽しいと感じられたりする方法も紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
デッサンはなぜ必要なのでしょうか?デッサンによって具体的にどんな能力を磨いているのかを解説します。
デッサンとは、単色の線や筆触によって物の形や明暗などを描いたものです。物体を明暗だけでとらえ、2次元で表す方法のことであり、デッサンの最終目標は見た目だけの巧い絵を描くことではありません。
デッサンをするときは、モノクロという制限のある中での表現力が要求されます。対象物をよく観察して目から得た情報を分解し、紙の上で再構築することがデッサンの根幹とも言えるでしょう。
観察して再構築する力は、絵を描くだけでなく、世の中のさまざまな事に活かせます。
デッサンの上手・下手を区別する時、単純に手先の器用さやセンス、才能といったことと結びつける人は少なくありませんが、デッサンの本質はセンスや才能ではありません。デッサンで鍛えているのは観察力で、観察力が弱ければ物事の本質を捉えたデッサンはできないのです。
デッサンが苦手なことを、センスや才能のせいにする必要はありません。
デッサンで本当に見たいのは、その人の世界の見方です。対象物への観察と、観察したことをもとに理解するという思考法を習得するのが、デッサンの最終目標とも言えるでしょう。
デッサンがうまくいかない原因は、観察不足や理解不足、経験不足によるものであることが大半なので、世界の見方を鍛えるつもりで取り組んでみましょう。
デッサンを楽しくないと感じるのはどうしてでしょうか。考えられる理由を紹介します。
絵がうまくなりたい!という理由だけでデッサンをしていませんか?あなたの言う「絵がうまい」とは、具体的にどういう絵が描けることか説明できるでしょうか。どういう絵を目指しているのか確立していないと、その手段がデッサンだと実感できず退屈に感じてしまいます。
また目標があいまいだと何のためにデッサンをするのかわからなくなり、楽しくないと感じてしまうのも不思議ではありません。美大に受かりたい、コンテストに入賞したいなど、何でもいいので自分なりの明確な目標を持てば、くじけずに練習に取り組めるようになるかもしれません。
「美大に合格するため」という使命感だけでデッサンを続けていないでしょうか。苦手意識を持ちながらいやいや描いても、いつか本当に嫌になってしまっては元も子もありません。
使命感が強すぎて描きたくなくなっている人は、リフレッシュしてみましょう。自分が求めている画力を得るための手段として納得がいかない理由を改めて考えてみたり、描きたいものを自由に描く気持ちを思い出したり、絵に対する使命感を一度手放してみるのもおすすめです。
使命感にも繋がりますが、描いているモチーフが課せられたものばかりではありませんか?対象が好きなものでなければ、じっくり観察しようという気にもなりませんし、観察しなければデッサンはうまくいきません。
課題ばかりをこなさず、自分の好きなものを好きな画材で描いてみることも大切です。
デッサンを退屈に感じたり、楽しめなかったりする理由は様々。ここではデッサンが楽しくなる方法を考えてみましょう。自分が楽しく描いたものは見た人にも必ず伝わります。
絵は技術だけ上達させれば良いというものではありません。参考書の知識で頭でっかちになり、デッサンの技法にばかりこだわっては、楽しむ要素がなくなってしまいます。
デッサンが嫌いと思っているなら、1度ルールや参考書は脇に置いておいて、自由に描いてみましょう。何をどう描くか、本来絵は自由なはずです。自由に描くうちに、デッサンに必要な思考が育ってくるでしょう。
課題を与えられると「描きたい」という気持ちより、「描かなければ」という使命感の方が強くなってしまいます。まずは自分で好きなもの、描きたいと意欲をかきたてられるものを探してみましょう。
散歩やショッピングに出かけ、描いてみたいという気持ちがわき上がれば、きっとデッサンを楽しいと思えます。
デッサンは作品ではなく、自分が観察して理解したことを再構築し、紙の上に表現したものを伝える力です。
絵の上手下手ではなく、見る人に何を伝えたいかを考えてデッサンしてみましょう。
デッサンが苦手であっても、美大を受験するなら向き合わなければならない壁。嫌い、楽しくないというのは見る人にも伝わるもの。できれば楽しい、好きという気持ちで取り組みたいものです。
嫌だと思う理由と向き合って、少しでも前向きな気持ちになるように工夫してみましょう。