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デッサンスケール(デスケル)とは

デスケルの使い方

デスケルの原理

デッサンスケールの略であるデスケル。モチーフの構図を決めるときや、角度をチェックする際に使います。構図を決める能力や、対象物を正確に写し取る力量が問われるデッサンにおいて、デスケルは正確性を上げるのに役立ちます。

市販されているデスケルの多くが約115×140mmの四角い板です。プラスチック製の透明なものが主流であり、グリッドで16分割されています。小型で持ち運びやすく、集団でデッサンを行う場面でも使いやすいのが魅力です。デスケルを使用する際のポイントは中心をどこに置くかであり、対象物の中心をしっかり見定る必要があります。またデッサンスケールの距離を、視点と同じ位置にすることもポイントの一つです。

デスケルは描きたい対象との間に挟み、片目で見える視点を描こうという試みから作られました。デューラー作の『横たわる女を素描する人』でもデスケルの原理が描かれており、格子枠を活用している様子がうかがえます。

デスケルを使う際は「片目の位置」「格子枠の位置」「対象の人物の位置」の3点を固定しましょう。格子状の枠を絵のように固定させるのは現実的には難しいですが、可能な限りモチーフを動かさないのがコツです。

デスケルは使ってはいけないもの?

デスケルはあくまで補助的なツールです。対象物に対して水平に向けて構図を探ったり、グリッドを活用して位置関係を把握したりするのが主な役割となります。デスケルは絵を描き始めた初心者がよく使う道具であり、プロの方でも構図を決定する際に使用する場合がありますが、あくまで確認作業。デッサンに慣れていないため多用しがちなデスケルですが、モチーフの形態を正確に把握する能力を養うためにも、徐々に使用頻度を抑えると良いでしょう。

デスケルを多用する癖がある方は、はかり棒にシフトするのがおすすめです。はかり棒の方がデスケルよりも直観力を養う効果が期待できます。加えて構図を探る際はエスキースを行っても良いでしょう。絵画の比率を確認する方法はデスケル以外にもあります。さまざまな方法に目を向けてみて、デスケルを多用する癖を改善していくとよりデッサンの質やスピードが上がるかもしれません。

デスケルの選び方

デスケルの比率

デスケルの透視枠にはD・B・Fなどいくつか種類があり、それぞれ比率が異なります。各種類の比率の特徴は以下の通りです。

デッサンスケールD

デッサンスケールDは主に木炭紙を使用するときに使われます。500×650mmのサイズが販売されていますが、倍のサイズである大判サイズもあります。大判サイズでも、透視枠の比率は変わりません。

デッサンスケールB

比率が約1.414(1:√2)の支持体(キャンバスや紙など)に使われるデッサンスケールB。B3・B4などのB列サイズや、A4・A5などのA列サイズが該当します。大きさの規格として、日本独自の規格であるJISと国際規格であるISOの2種類があるため、規格によっては支持体のサイズに差があります。ですが比率自体は同じなので、どの規格でも使用可能です。

デッサンスケールF

デッサンスケールFはF列・P列・M列すべてのパネルやキャンバスに使用できます。キャンバスサイズを問わないのが強みであり、F15号のキャンバスでもP20号のパネルでも対応可能です。格子比率はF列基準で作られていますが、P列・M列を使用した場合でも透視枠の中にP列とM列に該当する線があるため、使いやすくなっています。

キャンバスへ使用する際に気を付けること

実際にデスケルをキャンバスに使用する際は、使用するデスケルの種類が対応する用紙の比率と合っているか確認しましょう。たとえ日本製のキャンバスを使用していても、号数によっては比率が違う場合があります。

日本で販売されているキャンバスは、明治期はフランスのキャンバスサイズ規格に沿って作られていましたが、だんだん尺貫法に置き換えられ、さらにメートル法に置き替えられました。そのため、はじめに作られていたキャンバスサイズとは違うサイズになっています。

号数が小さいと、比率が変わったことで生じる誤差はほとんどありません。しかし号数が大きくなるにつれて誤差が目立つため、20号以上のキャンバスを使用する場合は自分で透視枠を作ると良いでしょう。またフランス製キャンバスの使用を検討する方法もあります。

デスケルの作り方

デスケル製作の手順

描きたいと思っている支持体の比率に合うデスケルがない場合は、自分でデスケルを作るのも一つの手段です。デスケルは絵画の縦横の比率さえ分かっていれば、自分で作ることが可能です。特にグリッドのないデスケルは枠だけで良いため、厚紙や段ボールで簡単に作れます。具体的な制作手順は以下の通りです。

まず既定の大きさである約115×140mmを目安に、プラスチック板をカットします。デスケルは透けていないと角度の確認や構図の考案ができないため、透明なものを選びましょう。プラスチック板はカッターナイフでカットできます。

次に絵画の縦と横の比率を計算します。計算で出た結果を基に、縦と横の比率をプラスチック板に書いていきましょう。ただし水性マジックで記載すると誤って消えてしまう可能性があるため、油性マジックの使用がおすすめです。また枠の四隅を1.5~2cm程度残しておくと良いでしょう。計算方法は下記で説明しています。

最後にグリッドを作りたい方にのみ必要な工程として、枠の中に等間隔の線を3本引く作業があります。縦と横それぞれに引いてください。デスケルはこれで完成ですが、枠外の透明部分が気になる場合はマスキングテープや黒いビニールテープを貼って隠しても良いでしょう。

デスケル制作の絵画の縦と横の比率

デスケルを制作する過程において、支持体の縦横の比率を計算する必要があります。比率の計算と聞くと難しく感じるかもしれませんが、覚えてしまえば簡単です。

例えば木炭紙でデッサンを行う場合、サイズが65×50cmなら短い辺で長い辺を割ります。長い辺が65cm、短い辺が50cmなので、65÷50をすると1.3となり、比率は50cm:65cm=1:1.3であることが分かります。この木炭紙に合う横10cmのデスケルを作りたい場合、縦の長さは10×1.3を計算すれば分かります。つまり、縦の長さを13cmにすれば1:1.3の比率のデスケルが完成するのです。

なお上記のような計算は、デスケルに限らずエスキースでも役立ちます。比率と構図の決定は切っても切り離せない関係です。本番に挑む前に小さな用紙で構想を練らなくてはならない場合でも、比率の計算ができればすんなりと対応できるでしょう。

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