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1924年、フランスの詩人アンドレ・ブルトンが提唱した「シュルレアリスム宣言」を起源とした芸術運動です。
フランス語の「超=シュル」と「写実主義・現実主義=レアリスム」を組み合わせてつくられた言葉で、夢や空想の中にいるような表現が特徴的です。
シュルレアリスムでは、人間の心の中にある無意識の部分や夢の世界、現実には再現できない世界を模索し、斬新に表現しようとしました。
この運動は世界中に広まり、政治や哲学など、芸術以外の社会的な分野にまでも大きな影響を与えました。
超現実主義(シュルレアリスム)の登場には、心理学者のフロイトの理論が大きく影響しています。夢の中の画像などを使って、潜在的な無意識を露出させるような理論から生まれました。
視覚芸術を自由な想像力で描く表現は斬新的で、これまでの古典主義や写実主義、印象派などの芸術とは一線を画す位置にあります。
シュルレアリスムを表現する手法のひとつに、「デペイズマン」が挙げられます。意外な組み合わせで驚きと異質さを感じさせる方法で、自然風景の中に歪んだ形状の物を描くなど、見る人に居心地の悪さや違和感を与えて空想の世界を表現します。
デペイズマンを用いた作品では、サルヴァトール・ダリの「記憶の固執」が有名です。
フロイトの本に影響を受けて以降、シュルレアリスムとして活動した画家がマックスエルンストです。彼の代表作「都市の全景」は、崩壊しつつある都市に満月が忍び寄るもので、当時のナチスに対する悲観的な感情を表現した作品と言われています。
また、ジョルジョ・デ・キリコは彫刻やマネキンなどの物を自然の背景と対比させ、違和感を覚えるように描き上げることが得意でした。「ヘクトルとアンドロマケ」や「愛の歌」「形而上絵画」で知られています。
シュルレアリスムで忘れてはならないのが、現代アートの代表的な存在でもあるサルヴァトール・ダリです。ぐにゃぐにゃに歪んだ時計を置く作風が有名ですね。
ダリはアメリカに移住してから「記憶の固執」や「ヴィーナスの回想」を発表して大成功をおさめました。