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美大・芸大を目指す過程で重要視されるのが、実技試験。これから美術予備校を検討しようと考えている方にとっては、実技試験自体も未知の領域ですよね。どんな場所で、どんなスタイルで、どんな試験が出るのか…?謎だらけの実技試験を少しだけ覗いてみましょう。
東京芸大を受験するためには、まずセンター試験を突破しなければなりませんが…ここは、そんなに重要なポイントではありません。なぜなら、「センターによる足切りはほぼ皆無」だから(※ 筑波や学芸などは学力重視ですのでご注意を)。勝負は2月末から3月上旬に行われる「前期試験」です。
芸大は後期試験がなく前期試験のみしか行いません。また、願書は1つの専攻科にしか提出できませんので、完全一発勝負となります…!
そして、試験日程は複数日にわたる長期戦。学科試験はありませんが、専攻科によっては、1日目・2日目にデッサンを、3日目・4日目に実技…それぞれ1日6時間程度の試験時間を設けているため、4日間ひたすらに課題に集中しなければなりません。
とはいえ6時間ずっと同じ部屋にこもりっぱなし…というわけではなく、課題を仕上げることさえできれば時間の使い方は自由。なので、トイレ休憩や昼休みは好きな時間にとることができます。時間をフルに使ってじっくり仕上げる人、試験開始直後からフラフラ外に出て行く人などそれぞれのペースで課題を仕上げます。
絵画科 日本画専攻
一次 |
「鉛筆素描:ヘルメス」 |
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二次 | 「着彩写生:ローズマリー1本を持った両手、菩提樹の実1個を持った両手の2ポーズを想定して描く」 2日間:11時間(昼休憩別途あり) |
絵画科 油絵専攻
一次 | 「素描:石膏像、色紙、みかんの中から1つ選び、鏡と組み合わせて描く」 1日間 5時間 |
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二次 | 「校内の風景をスケッチし、室内の球体と組み合わせて描く」 ■ ただし試験室以外でのスケッチは2日目まで 3日間:18時間 |
彫刻科
一次 | 素描:「石膏像 聖ゲオルギウス」 1日間:6時間 |
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二次 |
素描:「空間」 彫刻:「鳩モチーフの彫刻1点」 |
工芸科
一次 |
「素描:石膏像マルス」 |
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二次 |
平面表現:「一色ベタ塗りした1辺32cmの正方形と、3つのモチーフを用いて色彩構成する」 立体表現:「水のイメージとトマトを粘土板上に立体表現する」 |
デザイン科
一次 | 構成デッサン:「お面、ひもと自分の手を自由に構成して描く」 石膏デッサン:「パジャント」 1日間 7時間(昼休憩含む) どちらかを選択 |
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二次 |
デザインI色彩:「色彩:あなたが考えるコンビニエンスストアのイメージを条件下で色彩構成する」 デザインⅡ形体:「形体(粘土):プロペラもしくはスクリューのあるものをデザインする」 |
芸大では一次は2月下旬、二次は3月上旬となるため、国公立大学前期試験の発表の中では一番遅い発表となります。ちなみに、大学の合格証書は個別で申請し、手続きをしないと交付されないため、ほとんどの学生が持っていません。
その代わりに合格を証明するのが「芸大合格袋」です。美大予備校に掲載されている写真で桜色の紙袋を手にした学生が写っていたら、確実に芸大合格者ですね。袋には「芸大合格」というハンコがドカンと押してあります。この中には新入生歓迎会のお知らせや学校生活のしおりが入っているんですよ。
この袋を受け取れば、春から晴れて芸大生です。
入試は造形力に加えて体力も必要となるためかなり厳しいものになりますが、憧れの芸大目指して頑張りましょう!
芸大の中でもとくに国立の大学ではセンター試験の受験が必須となっています。その他の芸大でも、センター試験の成績が必要だったり、学科試験を実施している大学がほとんど。芸術大学といえども、あまりにも学力が低い生徒では授業内容についていけない可能性もあります。一般の大学と同じような授業がある芸大も多く、また芸術を学ぶ上では英語、数学、国語など、様々な基礎知識が必要となります。
建築などの分野を学びたいという場合には、数学の成績は重視される傾向にあるようです。芸大の中には海外から講師を招いた授業を行ったり、海外での芸術に触れる機会を与えてくれるところもあります。このような場所でチャンスをものにするには、基本的な英語力、国語力も必要となることでしょう。