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東京学芸大学 教育学部

東京学芸大学は、あらゆる教育の現場で活躍する人材を輩出してきた大学であり、美術系ならば小学校~高校の教師になれる課程と、より美大に近しい内容を教えてくれる課程があります。どちらにせよ、センター試験ではそれなりの得点が必要です。

美術を通して教育に携わりたい方にオススメ

東京学芸大は古くから多数の学校教育者を育ててきた大学であり、現在も幼稚園から高校まで、幅広い教育の現場で教えられる人材を育成しています。

1988年には教員免許の取得が必須ではない「教養系」という課程が誕生し、教育分野にとどまらず多方面で活躍する方が出てきています。

A類では主に小学校図画工作の内容や特性を理解し、子どもの表現意欲を高めるために何をすべきかを学び、制作やワークショップで子ども達と関わっていきます。

B類では美術教育の幅広さ、専門分野の奥深さを学び、専門工具類の使い方を習得したり、絵画・彫刻・デザインなどの実技も実施します。

対してE類では演劇、映像、音楽、美術、パフォーマンスアートなど、比較的美大の講義内容に近いものが行われています。学生が希望すれば表現活動や教育の現場に参加でき、早いうちから美術関連の職業について経験を積むことも可能です。

ただし、もちろん学芸大ですから学問のベースは単に美術を突き詰めるのではなく、「教育の場」を支援すること。そのため、美術だけでなく教育やコミュニケーション、企画制作等にも興味がある方向けの学部と言えそうです。

入学試験は実技がありますが、一般の美大入試とはやや実技の傾向が異なることがあるので学校の傾向をしっかり把握している美術予備校などに相談してみてください。最適なコースを勧めてくれると思います。

主なコース

美術科(洋画研究室)

学芸大学の洋画研究室では、絵画材料の特徴や使い方だけでなく、洋画に関する幅広い歴史を学べます。技法、造形理論、美術史、教育史を知ることで、幅広い表現をインプット。

また、独自の企画展示やワークショップ、各種美術コンクールといった出品を推奨することで、授業時間外の制作を行なうことも可能です。創造力や多様な思考はアイデンティティーを形成するため、学びながら一人ひとりの人間力を高められます。教育学部なので、教えるための実践力も身につけられますよ。

美術科(日本画研究室)

日本画研究室は、日本画のスキルや知識の習得を目指せる場所です。さまざまな美術分野の基礎を固めることで、それぞれの制作へと取り組んでいきます。

学外の学習では、展覧会開催や教育実習などを実施。自身の作品を見つめ、広い視野で美術と向き合い、知識・技術の向上を図っていくようです。

一人ひとりが描いた作品を集大成として終わるのではなく、これからの人生の糧として歩んでいけるように指導してくれます。

美術科(木材工芸研究室)

木材工芸研究室では、木のカトラリーといった小さなものから、オブジェや家具などの大きなものまで幅広い作品づくりを行なっています。木材の魅力をふんだんに活かせられるのが醍醐味です。

また、木の素材を教育現場でどう活かすかを考え、ボランティアやワークショップ、小学校での授業などさまざまな活動に取り組みます。教育実習では、工芸の要素を指導案に取り入れるなど、学んだ知識を活かせるのが特徴です。深く木と教育に向き合った研究室と言えるでしょう。

美術科(金属工芸研究室)

金属工芸研究室では、鍛金・彫金を中心とした作品制作に取り組んでいきます。授業課題や自由制作を通し、素材や制作のプロセスから表現の可能性を探ります。

また、生命科学分野と連携して毎年ワークショップを実施。実際の現場で幅広く知識と技術が学べるのも特徴です。工作・工芸教育に携わる知識とスキルを習得し、学校教員またはその他連携機関でも活躍できる学生の育成を目指している学科です。

美術科(彫刻研究室)

学芸大学の彫刻研究室は、塑像室、木彫室、石彫室の3つの分野があります。各部屋ごとに担当の教員が指導。人体具象彫刻から抽象的な作品まで、幅広く作品の制作をしていきます。自由制作以外にも、授業内製作やモデル授業など、それぞれの部屋の分野を超えて彫刻の制作、創作を磨いていきます。

年に一度開催される展示会や公募展への出品の他に、学生個人による展示会の開催も活発に行なわれています。

美術科(グラフィックデザイン研究室)

グラフィックデザイン研究室では、幅広く社会で活躍できるように研究と制作に務めています。メインは編集ソフトを使用した制作。ポスターやチラシなどのモノのデザインだけでなく、相手にどんな情報を伝えたいのか、どんなプロジェクトにしたいのかを意識した学びが受けられます。

地域のプロジェクトにも多く関わりを持っているグラフィックデザイン研究室。実践的なデザインを経験することで、個々の持つデザインの可能性を広げていきます。

美術科(環境プロダクトデザイン研究室)

環境プロダクト研究室では、建築を専門とする鉄矢悦朗教授から指導を受けられます。当たり前だと感じている「人とのコミュニケーション」や生活を、建築や家具デザインを通じて一緒に考えていくのが特徴。学外ではさまざまなイベントに参加し、教授のアシスタントやボランティア活動を行ないます。

また、学生自らが企画・主催者として実践的な活動を行なえるのも特徴です。学内では体験できない学びと、視野を広げられるチャンスが多くあります。

取得可能資格

教員免許、司書、学校図書館司書教諭、学芸員、小学校教諭一種(初等美術専修のみ)

卒業生の主な進路先

東京学芸大学の教育学部でデザインを学んだ方の多くは、実際に教員になって学生の頃から得意だった美術を通して教育に携わっています。その割合は、教育学部を卒業して就職した数の約半数です。他に、も塾や通信講座などのような教育・学習を支援する企業で勤務している方もいます。また、教育学部からの就職数は少ないのですが、大学で身につけたデザイン力を活かすために印刷業や機械器具の製造業などに就職している方も。卒業生全体の10%の方は、大学を卒業した後大学院へ進学しています。

東京学芸大学のオープンキャンパス

東京学芸大学では、教育学部の受験者を対象にオープンキャンパスを開催しています。2019年は、7月27日(土)9:30〜16:00の日程で開催。暑い中、約7,100人が参加しました。

イベントは「全体セッション」「個別セッション」「特別セッション」の3つに分けられ、全体セッションでは学長の挨拶や大学の概要と特色などを1日5回説明。都合の合う時間を選んで参加できます。

個別セッションでは、各選修・専攻・コースなどの相談受付や過去問の閲覧・質問コーナーが設けられています。さらに選修・専攻・コースの内容・特色について、資料やビデオ、パネルでの説明、模擬授業を通して理解できます。特別セッションでは、教授や講師陣による講演や模擬授業、ワークショップを実施。ほかにも、生協学生委員会によるなんでも相談コーナーや学内散策ツアーが行われます。

東京学芸大学のミニオープンキャンパス

ミニオープンキャンパスは東京学芸大学の南講義棟(S棟)にて、模擬授業を中心に開催されます。2019年の開催日時は、9月28日(土)13:00〜15:30。学食とキャンパスツアーは11時から体験できるので、講義前の利用も可能。イベントでは、模擬授業や各専攻・選修・コースの説明、個別相談が実施されます。東京学芸大学を目指している方は、大学の雰囲気に触れるチャンスです。

募集要項

平成31年度の入試概要

検定料:17,000円

募集定員 志願者数 受験者数 合格者数 倍率
A類初等教育教員養成課程
初等美術専修前期
15 33 32 17 1.9
B類中等教育教員養成課程
中等美術専修前期
15 26 25 17 1.5
E類教育支援課程
表現教育コース前期
15 58 55 18 3.1

入試科目

大学入試センター 必須科目 選択科目
A類初等教育教員養成課程
初等美術専修前期
国語、外国語から各教科200点
数学、理科(基礎は2科目)から各教科100点
地理・歴史、公民から1科目
各教科100点
合計700点
B類中等教育教員養成課程
中等美術専修前期
国語、外国語から各教科200点 地理・歴史、公民、数学、理科から3科目各教科100点
合計700点
E類教育支援課程
表現教育コース前期
国語300点
数学200点
外国語500点
地理・歴史、公民、理科から
3科目各教科100点
合計1300点
個別学力試験 科目
A類初等教育教員養成課程
初等美術専修前期
実技のみ(図工・美術実技+プレゼンテーション)
B類中等教育教員養成課程
中等美術専修前期
【必須】面接
【選択】実技(デッサン)、小論文
E類教育支援課程
表現教育コース前期
小論文

東京学芸大学の学科試験の傾向

一般入試の入試日程は前期と後期に分かれますが、美術科は前期のみ実施されます。

大学入試センター

初等教育教員養成課程(A類)の美術専修では、国語と数学が必須受験科目となっており、地理歴史・公民から1科目、理科から1科目、外国語から1科目の、計5教科5科目での受験が行われます。英語はリスニングを含み、理科の基礎科目を選択した場合には、2科目を選ぶことになります。

中等教育教員養成課程(B類)の美術専修では国語が必須受験科目となっており、地理歴史、公民、理科、数学から3科目、外国語から1科目の、計5教科5科目受験します。A類と同じく、英語はリスニング込みで「基礎」とついている科目を選択した場合は、2科目を選択して受験します。

教育支援課程(E類)の教育支援専攻表現教育コースでは、国語と数学が必須科目となっています。地理歴史と公民から1科目か2科目、理科から1科目か2科目の利用となっており、地理歴史・公民・理科からは計3科目の選択が必要です。数学は必須科目のほか、「数学II・数学B」「簿記・会計」「情報関係基礎」の3科目の中から1科目を選択。英語は1科目を選択して受験します。E類の受験教科・科目は、計5教科7科目または6教科7科目です。

学校所在地

東京都小金井市貫井北町4-1-1(JR国分寺駅より徒歩20分、JR武蔵小金井駅よりバス乗車、学芸大正門もしくは学芸大東門バス停よりすぐ)

東京学芸大学の過去問再現作品

東京学芸大学の過去問再現作品001
引用元:なんば美術研究所HP
http://art-namba.com/accepted

石膏像を横から見たときのデッサンです。顔の輪郭や頭部、首、胸部まで、陰影がしっかり表現されています。

東京学芸大学の過去問再現作品002
引用元:御茶の水美術学院HP
https://gakuin.ochabi.ac.jp/gallery/g_weekend/23417.html

石膏像を斜め前から見て描かれたデッサンです。頭部の光と陰のコントラストが強く、画面から飛び出してきそうな迫力のある絵に仕上がっています。質感の表現も見事ですね。

東京学芸大学の過去問考察

A類美術選修は、鉛筆による静物デッサンを2時間で行います。静物デッサンは、制作意図についてのプレゼンテーションも実施。デッサンをしながら、制作意図をはっきりさせておく必要があります。

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