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ゴシック美術

ゴシック美術とは

12世紀半ばから15世紀頃栄えたゴシック美術。中世美術の中では最後の様式であり、フランスから西ヨーロッパに広がりました。「ゴシック」とは「野蛮な」という意味であり、ルネサンスの人々からの軽蔑が含まれています。当時流行っていたビザティン様式から逸脱した様式で、世俗的主題への関心が高いのが特徴的。「ゴシック」という言葉は建築に使用さていましたが、それはゴシック美術の特徴が絵画よりも建築や彫刻によく表れていたからです。

ゴシック建築で開発された建築構造

尖塔アーチ

従来の建築物は左右の壁に荷重のかかる筒形の屋根をしていたため、大きな窓を作れませんでした。そこで、考えられた建築構造が尖頭アーチ。尖頭アーチは名前の通り先のとがったアーチであり、この構造を取り入れることで建物の重みを横へ逃がすことに成功しました。

リヴ・ヴォールト

筒形の屋根の問題を解決するために、尖塔アーチとともに開発されたのがリヴ・ヴォールトです。

リヴ・ヴォールトは尖塔アーチを補強する目的で開発されました。尖塔アーチの構造を採用すると、天井からかかる荷重を下から横にそらせますが、尖った中央部に負荷が集中してしまいます。

そこで考えられたのが、リヴ・ヴォールトとの併用。リヴ・ヴォールトは建物内部にある交差した縦筋のことであり、中央部に集まる建物の重みを分散する役割を果たしています。

フライング・バットレス

尖塔アーチとリヴ・ヴォールトが開発されましたが、この2つだけでは建物の負荷が外側へかかりすぎ、崩れてしまう可能性があります。そこで、フライング・バットレスが登場。フライング・バットレスは建物の内側からではなく、外側から支える構造です。これにより高い建物でも大きな窓を作れるようになりました。

ゴシック美術の絵画表現

ゴシック美術の絵画表現では、描かれる人物のリアルさが増していきました。ゴシック美術以前の美術様式ではキリスト教の精神性を表現することに注力していましたが、この頃からリアリティーを追求するようになります。人の表情を少しずつ変えたり、奥行きを描こうとしたり、影やグラデーションを取り入れて立体感を出そうとしたり、さまざまな取り組みがされました。

ゴシック美術の代表作

ゴシック美術が流行った時代には世界的に有名な建築物が多く作られました。ノートルダム大聖堂やシャルトル大聖堂などがその一例であり、「大聖堂建築のゴシック」と称されるほど、大聖堂の建築が盛んでした。

中世ヨーロッパは協会が権力を握っていたため、宗教を信仰している者たちが礼拝できる場が求められていたのです。壮大さが魅力のゴシック建築ですが、特徴としては「開口部が大きい」「塔が鋭くとがっている」「天井が高い」「豪華なステンドグラス」などが挙げられます。

また、絵画では「マエスタ(荘厳の聖母)」が有名です。表情のバリエーションの豊富さや立体感ある描写が印象的。完璧ではありませんが、奥行きを表現しようとしている様子もうかがえます。

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