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デッサンをレベルアップさせるために欠かせないスキルが「グラデーション」。この技法をうまく使えないと、デッサンが薄っぺらなものになってしまいます。表現力アップのために、鉛筆でグラデーションを作る練習をしましょう。
実際に練習を始める前に、必要な準備について紹介します。まず、定規を使って紙に10個のマスを作りましょう。縦4cm×横20cmほどの長方形を描き、その中を10部屋に区切ります。マスの大きさは自由ですが、極端に大きすぎたり小さすぎたりすると練習にならないため、自分で塗りやすいサイズに整えましょう。
左右どちらでも構いませんが、どちらか一方の端のマスを濃い黒に塗ります。均一に塗れたら、今度は反対の端のマスを薄く均一に塗りましょう。その間のマスを、濃い方から薄い方へ、あるいは薄い方から濃い方へ段階的につながるように塗っていき、グラデーションに仕上げます。
端の濃い黒に塗るマスは、紙の表面がつぶれても問題ありません。10Bなどの鉛筆を使って黒く見えるように塗ることがポイント。一番明るいマスも、FやHの鉛筆を使って、極力薄く均一に塗りましょう。
初めのうちは、隣り合うマスの色がほとんど同じになったり、差がバラバラになったりするかもしれませんが、練習を重ねることでデッサンに使える色が増えていきます。全体のバランスを見ながら、色の濃さを調整していきましょう。
グラデーションを作る練習に使う鉛筆は、どんな種類でも構いません。デッサンで使う鉛筆の種類は、人によってバラバラであり自由です。自分の表現にしっくりくる鉛筆を探す必要があるでしょう。
自分にぴったりの鉛筆を見つけるためだけでなく、道具に左右されずに能力を発揮できるようにするためも、練習の際は色んな種類の鉛筆を使ってみることがおすすめです。
鉛筆デッサンで10段階のグラデーションを使う際は、単に明暗を塗り分ければ良いというものではありません。練習で作ったグラデーションを目安として手元に置き、描く箇所によってどの色を使えば良いか考え、バランスを意識しながら塗っていきましょう。
デッサンのラフ段階では、モチーフの質量や光の方向を決めるときに、5Bや6Bなどの柔らかい鉛筆を寝かせて塗るという描き方をするのが一般的。
描き方のポイントとしては、強く塗り込むのではなく、力を入れすぎないよう、鉛筆の粉を紙に乗せる感覚で描くこと。軽く持って軽く描くことを意識しましょう。
この段階では、陰影の大まかな計画を立てることが目的なので、細かいグラデーションを描く必要はありません。
グラデーションをデッサンで使うときには、線を重ねて陰影を描くことが基本です。鉛筆を軽く持って素早く線を引き、交差させて重ねていきます。
「塗り」ではなく「線」でグラデーションを作る場合は、線のストロークがポイントに。ストロークの長さを調整することで、表現の幅が広がります。
ハッチングでグラデーションを描く場合、物の表面に存在する凹凸や起伏を捉えることが重要です。特定の方向に線を重ね、モチーフの表面の丸みや立体感を表現することで、奥行きのあるデッサンが生まれます。
鉛筆デッサンでは、陰影や立体感だけでなく、質感を表現できなければ高い評価は得られません。
質感を表現する方法はいくつかありますが、その一つに、「鉛筆の硬さ」を活かす方法があります。
ガラスや金属がモチーフの場合は、2Hや4Hなどの硬い鉛筆を使い長いストロークで描くことで、モチーフの硬さを表せます。反対に、柔らかいモチーフ、毛がフサフサとあるようなモチーフは、3Bなどの柔らかい鉛筆を使って短く太い線を繋げていくことで、柔らかさを出しましょう。
デッサンにグラデーションを使う練習は、自分が納得できるまでとことん回数を重ねましょう。
美大の実技試験では、決められた時間の中で複数のモチーフを描き分ける必要があります。グラデーションの表現に慣れてきたら、少しずつ描く工程を減らし、最終的には最小の工程でグラデーションを完成させ、立体感や質感を表現できるようになることが理想的です。