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デッサンでの光と陰影の描き方

デザイン科の美大入試では鉛筆デッサンが課される場合があります。紙の上で立体物をいかに表現できるかが評価基準となるため、光と陰影の描き方をしっかり習得しておきましょう。

光と陰影で立体感を出す

デッサンで立体感を出すには、光と陰影の表現が重要になります。「陰影」とは、モチーフの光が当たらない部分を指す「陰」と、モチーフがテーブルや床などにうつす「影」の2種類の「かげ」のこと。さらにモチーフには、周りの物に当たった光が反射してできる「反射光」があります。

つまりデッサンではモチーフの光のあたる部分と、2種類の陰影、反射光の4つのトーンを意識して描くことがポイント。また光が当たる部分の中でも、特に明るい部分に「ハイライト」を入れることでより立体感が増します。

デッサンで光と陰影を表現するための手順

下描きをする

まず3Bくらいの柔らかい鉛筆でモチーフの形をとり下絵を描きます。工程のはじめの部分では柔らかめの鉛筆を寝かせて使い、徐々に硬い鉛筆を用い細部は鉛筆を立てて描いていくと仕上がりがキレイになるでしょう。

下描きではモチーフの構造を意識して観察します。構造を理解することでモチーフの立体感を捉えやすくするためです。下描きの段階で光と影の境目や、面の変わり目を捉えて薄く描いておきましょう。

陰影を作る

下描きができたら、陰影を入れていきます。この時光を意識して描きだすより、陰影を先に描く方がモチーフの立体感を表現しやすくなります。この段階ではあまり細かく見すぎず、陰影をざっくり捉えて描いていくと良いでしょう。陰影を描いたら光の部分に取り掛かります。ただしあくまでも光のトーンを「大雑把に」捉えることを忘れないでください。

彩度を意識する

硬い鉛筆で描いたり描いた部分を擦ったりすると、デッサンの彩度を低くすることができます。モチーフをより立体的に描くには彩度に差を出すことがポイント。彩度差は陰影の部分をティッシュなどで擦ることで表現できます。

具体的に描く

全体のベースを描けたら硬めの鉛筆を立てて持ち、モチーフの形をより具体的に描いていきます。

モチーフと床の境目がぼやけている場合は、Fなどの硬い鉛筆で描き境目をハッキリさせておきましょう。

陰影より光が当たる部分を中心に描くと、自然な立体感を出しやすくなります。

描き込みが多くなるとモチーフが段々黒くなっていってしまう場合もあるので、明るさを出すために練り消しを叩くように使い、デッサンにリアリティを出しましょう。

デッサンで光と陰影を上手く描くポイント

グラデーション

モチーフを立体的に描くにはグラデーションを使いこなす技術力も重要。一番暗いトーンから一番明るいトーンまで、自然でキレイなグラデーションを作る技術がなければ、リアルな表現はできません。

納得のいくグラデーションができるまで、何度も練習を重ねましょう。

3つのトーン「明・中・暗」

陰影の明度を捉える際は、大まかに3つのトーンを用いて明暗の雰囲気を合わせるように。明るい部分は「白」、中間部分は「薄めのグレー」、暗い部分は「濃いグレー」という具合に3つのトーンを使い、モチーフの明度を大ざっぱに塗り分けます。ポイントは、モチーフを部分的ではなく全体的に見ること。少し離れたところから塗り分けたトーンを見てみると、モチーフのトーンと合っているか確認しやすいでしょう。

中間のトーンを出す

3つのトーンに塗り分けられたら、さらに中間のトーンを増やしていきます。3つのトーン「明・中・暗」それぞれの中間のトーンを表現することを意識してみてください。それができたら、さらに細かく中間のトーンを増やしていくことで、最終的に滑らかなグラデーションに仕上がります。

陰線を見つける

モチーフの光が当たっている部分と、光が当たっていない部分の境目にある線を「陰線」といいます。陰線がハッキリ出ているモチーフの場合、比較的線を引きやすいのですが、人の顔のように丸みを帯びているモチーフの場合は陰線が曖昧で描きにくいことが多々あります。この場合は数本の線を使うことで、あえてハッキリさせずに表現するようにしてみましょう。

陰線が全くわからない場合は陰線に幅があるものと考えてグラデーションでつなぐように描いてみると、うまくまとめられるでしょう。

失敗しやすいポイント

部分的に見過ぎない

モチーフの細部にとらわれすぎると、反射光を実際より明るく描き過ぎてしまったり、全体のトーンを暗くし過ぎたりといった失敗をすることがあります。時折離れたところから絵を眺めれば、都度修正点が見えてくるでしょう。

また光が当たる部分より、反射光を明るくし過ぎないように注意しましょう。反射光は床の色にも影響されるため、モチーフを注意深く観察することが大切です。

全体のトーンを合わせるには、細部と全体を交互に確認しながら描くようにしてみてください。

光の方向を意識する

球体一つとっても、光の当たる方向によって、陰影のでき方や雰囲気は随分変わります。絵を描くうえで、光の方向の意識はとても重要。光の方向を理解できていないと、トーンのちぐはぐな絵に仕上がってしまいます。

前方や斜め、上方、下方、逆光など、モチーフのどの方向から光が当たっているのかを把握し、陰影のでき方をじっくり観察してみましょう。

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