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壊れ・傷みが生じた国宝や文化財などの美術品・美術工芸品を修復する、美術修復家。ここでは、美術修復家の仕事内容や年収、向いている人、学校選びや資格などについてご紹介します。
国の文化財をはじめ、歴史的に価値のある美術品や芸術品を修復するのが、美術修復家の仕事です。絵画や美術工芸品、社寺、アンティーク時計などの修復家が存在しますが、絵画一つをとっても日本画や油彩画、水彩画、版画などさまざまな作品があるため、作品が変われば修復技法もそれぞれ異なります。
例えば日本画の場合、紙や絹に描かれたものを、表具師がノリを用いて額装や表装に仕立てます。日本は湿度が多いため、カビやシミが発生するケースが多く、ガス燻蒸でカビを殺菌、適切な薬品を使ってシミ抜きを行います。
このように、修復するものによって修復方法は異なるため、美術修復家になるには美術品の修復法はもちろん、その作品を作り出すための技法も学ぶ必要があります。
年齢や経験、修復するものによって美術修復家の収入は変動しますが、平均年収は550〜650万円となっています。さらに、業種別にみると得られる収入の幅も変わってきます。
絵画の修復家の場合、年収は100〜400万円。美術工芸品や寺社の修復家の場合は、240〜560万円。アンティーク時計の修復家の場合は、400〜420万円となっています。
例えば、経験のない絵画専門の修復家では、初任給は月16万円程度です。これにボーナスが年に2ヶ月分支給されると仮定すると、年収は224万円程度になります。当然ながらボーナスの有無によって年収は変動します。
参考元:平均年収.jp(https://heikinnenshu.jp/creative/shufukushi.html#:~:text=平均年収推移は550,円となっています。&text=修復家とは国宝,する職業のことです。)
国宝レベルの美術品を修復できる修復家になるには、豊富な知識と高い技術が求められます。傷んでいる美術品を丁寧に扱う注意力や集中力があり、手先が器用な方が向いていると言えます。
また、美術修復家として一人前になるには、10年以上を要するとされているため、コツコツと根気よく努力できる人も向いているでしょう。
文化財の美術修復家を目指す場合、「文化財修復科」をはじめとした専門の学科・コースがある美大や専門学校で学ぶのが一般的です。卒業後は工房などに就職して技術を磨き、経験を積んで独立する人もいます。
国内でも修復技術は学べますが、より高い海外の修復技術を学ぶために留学する人もいます。留学を考えている場合は、語学力も身につけておく必要があるでしょう。
美術修復家になるために必須となる資格はありませんが、美術品補修技術を学べる大学は限られており、ほとんどの人が、大学や大学院を修了しています。
また、美術館や博物館に就職する場合は、学芸員の資格を求められることもあるため、取得しておくと良いでしょう。