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世の中にあるほとんどの物は立体であり、輪郭線は存在しません。当然ながらデッサンでのモチーフにも輪郭線は存在しないため、一つの方向から見たモチーフの端、或いはモチーフと空間の境目を、自分の目で捉えて平面上に表現することになります。
輪郭線を理解しているかいないかでデッサンの質が変わってくるので、ここでポイントを押さえておきましょう。
身の回りにある物体は、立体として存在している以上、輪郭線が存在しません。しかし、デッサンは2次元の世界の話。モチーフを表現するには輪郭線を用いる必要があります。3次元のものを2次元に落とし込むには、空間と立体物の境界、端を理解することがとても重要です。
ただし、デッサンの実技試験で求められる表現は、単なる2次元的な輪郭線ではなく、モチーフの奥行きや、モチーフの内部と外部、空間の境目、モチーフの表面を表すものであることを認識しましょう。
輪郭線を描かずに物の端を表現するには、「色」を中心に考えるのがポイント。色の変化を捉えるコツは、モチーフの「光」をよく観察することです。モチーフの厚みや曲面、平面の集合、素材感などの境目から、モチーフの端を描くために必要な情報を選んで表現します。
モチーフの端を意識して表現し続けることで、デッサンの質は飛躍的にアップするでしょう。
表現の例としては、まず一つに、モチーフの輪郭をとり、構造線を使って描く方法があります。面を表現する際には、構造線が便利です。構造線は面の方向に注意して引くことがポイントです。構造線の質を意識することで、より無駄のないデッサンができるでしょう。
輪郭線のない絵を描くポイントは、面を意識して描くことです。モチーフの面の端が描ければ、絵の画面上でモチーフと空間を描き分けられるようになります。
面を意識した表現を練習する際は、物体の基本となる「立方体」から始めると良いでしょう。お菓子の箱やティッシュ箱など、サイズの異なるさまざまな立方体で練習できます。
立方体がうまく表現できるようになったら、箱のフタをずらしたり、ティッシュを引き出したりして変化をつけて練習することで、表現力に磨きをかけましょう。
面を正しくとらえデッサンにおこせるようになったら、モチーフの質感や柔らかさ、硬さ、温度、重量にも気を配り、更なる完成度を追求していきます。ティッシュ箱であれば、箱の部分は「やや硬く」、「冷たさ」や「重さ」があるのに対し、ティッシュは「柔らかさ」や「軽さ」、「温かみ」を持っているはずです。立体を平面に落とし込むのに必要な輪郭線を把握・表現し、質感まで表せるようになりましょう。