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一般の予備校でセンター試験に向けた模試を定期的に行うのと同様に、美術予備校では実技試験を想定した対策を実施しています。それが「順位付け(コンクール)」です。
基本的には「順位付け」は本番の試験同様に時間制限が設定されて、実際の入試のように講師により点数が付けられて講評を受けます。アドバイスがない中、自分1人で取り組むため作品によって、現状の実力や何が足りないのかが浮き彫りに。
完成後、講師陣が1人ひとりの作品をチェックし、1~2時間ほどかけて順位付けを行います。全ての結果が出た後、生徒たちは点数順に並べられた作品の中から自分の作品を見つけ出し、「上から何番目か」「前回よりも上がったか、下がったか」を判断。講師が1位の作品から講評を行なうので、他の生徒の作品であっても真剣に耳を傾けます。現状の画力がどの程度なのか判断できることはもちろん、課題や対策が明確になります。また美術予備校によっては、上位の生徒だけ講評を行なう場合も。まずは「講評してもらうこと」を目標にする美大受験生も、少なくありません。
美術予備校へ通うことを考えている人の中には、受験対策として順位付けの目的を理解していても、点数を付けられることへの抵抗・不安を持っている人もいるでしょう。美大卒業生の中には、順位付けがトラウマになったという方も。仕上げた作品に自信があろうとなかろうと、全員の前に並べられて場合によっては厳しい言葉をもらうこともあります。また絵を描くことを楽しむ余裕がなくなり、「どうすれば高い点数がもらえるのか」という考えばかりに気が向いて、「上手に描かなくてはいけない」という強迫観念に襲われることもあるようです。
多くの美大合格者が語るのは、「順位付けによってデッサン力を鍛えられたおかげで美大に合格できた」ということ。基礎的なデッサン力がなければ、美大合格はもちろん、運よく受かったとしても入学後に美大のハイレベルな授業へ付いていくのが難しくなります。美術を深く学ぶために必要不可欠なスキルを学ぶため最も効率的なのが、順位付けなのです。
ただし、採点方式は各大学により異なります。そのため各美大ごとの対策方法を熟知している美術予備校では、順位付けの際に「藝大は○点以上」など目標ラインを伝えながら、結果を発表するところも。志望校と比べた時の点数、受験生の中での自分の順位を把握するということで、美大合格までの道のりがわかります。