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志望大学を考える際、参考になるのが偏差値などによる大学ランキング。美大や芸大にももちろん、このランキングは存在します。やはりレベルが高いほど入試も厳しく、入学後も質の高い授業を受けることができますので、志望校決定の参考にしてみてください。ただ、美大・藝大は、他学部のように偏差値という断面だけでははかれないのが現状です。あくまでも人気度のひとつの目安としてとらえて下さい。
美大を目指すなら、やはり誰もが憧れるのが「東京藝大」。ですが、藝大は美大界では最高レベルと称されるほど入学が難しいことでも知られています。ここを目指す受験生も多く、学生の憧れ度は非常に強いかもしれません。
そして多摩美、ムサビなどが連なります。各地の公立大学もレベルが高く、多くの学生が合格を目指して頑張っています。大学を選ぶときもしっかりと見極める必要がありそうです。
近年はデザイン・メディア系学部の改編・新設が相次いだため、もしかしたらランキングにはやや変動があるかもしれませんが、以下の表が人気度の参考になるかもしれません。
国公立 | 私立 | |
---|---|---|
S | 東京藝術大学 | |
A | 愛知県立芸術大学 | |
金沢美術工芸大学 | ||
B | 京都市立芸術大学 | 武蔵野美術大学 |
筑波大学 芸術専門学群 | 多摩美術大学 | |
京都工芸繊維大学 | ||
広島市立大学 芸術学部 | ||
C | 沖縄県立芸術大学 | 東京造形大学 |
東京学芸大学 教育学部 | 日本大学 芸術学部(美術・デザイン) | |
女子美術大学 |
※受験者数÷合格者数をもとに表にしています。
その他の大学
今回当サイトで取り上げた上記の大学以外にも、建築系などの大学もあります。
特に美大や藝大系は他大や他学部のような偏差値ランクよりも「希望する専攻」や「教えていただきたい教員」「卒業生にどんな方がいるか」などの要素で選ぶべきではありますが、やはり高いランクの大学ではその道で活躍するプロが多数在籍し、ハイレベルな授業が行われていることが多いです。第一志望がなかなか決めきれない場合は、より上のランクの大学を目指してみてはいかがでしょうか。
※最新の情報は各大学の公式HPをご覧ください。
武蔵野美術大学の学費は年間約190万円ほどなので、単純計算だと4年間でおよそ760万円かかる計算になります。入学金は入学時のみとなりますが、その他学友会費や学科ごとに発生する費用があるため、実際の金額は前後しそうです。
また、優秀な生徒には助成金が発生し、比較的多くの生徒が助成金を受けられる仕組みになっています。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 300,000円 |
授業料 | 1,185,000円 |
実習費 | 29,500~65,500円 |
維持費 | 32,400円 |
施設費 | 324,000円 |
合計(年間) | 1,870,900円~1,906,900円 |
参照元:武蔵野大学入試情報入学金学費(https://www.musabi.ac.jp/admission/tuition/fee/)
2020年12月時点◆杉村奨学金(造形学部空間演出デザイン学科)
金額:100,000円
条件:空間演出デザイン学科に在籍しており、優秀な資質を持つ学生
◆校友会奨学金(造形学部4年生)
金額:100,000円
条件:勉学に熱意を持つ学部4年生
卒業制作企画案をもとに選考を実施する
◆外国短期留学等経費補助(造形学部)
金額:上限100,000円
条件:外国短期留学および国際交流プロジェクトに参加した学生のうち、修得単位の認定を受けた学生
多摩美術大学の授業料は初年度で200万越えとやや高く設定されています。しかし学科によって金額が異なることや、他校に比べ助成金の種類が多い点が魅力です。
それぞれ条件はありますが、採用人数も多く設定されているので、生徒のモチベーションも上がりやすいでしょう。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 300,000円 |
授業料 | 1,187,000円 |
実習費 | 32,000~63,000円 |
維持費 | 50,000円 |
施設費 | 330,000円 |
合計(年間) | 1,935,000円~2,049,000円 |
◆創立80周年記念奨学金(造形学部空間演出デザイン学科)
金額:30万円
条件:前年度の学内成績が最も優秀な学生(※入学年度は除きます)
◆学業成績優秀者奨学金
金額:20万円
条件:前年度の学内成績が最も優秀な学生(※入学年度は除きます)
◆特別優秀顕彰奨学金
金額:10万円
条件:学外での活動を通して顕著な実績をあげた学生(※入学年度は除きます)
◆ワークスタディ奨学金
金額:24万円
条件:経済的に修学困難な学生
※JASSO等の奨学金を貸与中もしくは申請中で、授業の空き時間や休業期間に計画的に一定時間以上作業に従事できる学生
東京造形大学の学費は初年度で約190万円となり、「基礎授業料」と「科目授業料」の2種類あるのが特徴です。基礎授業料は教育研究機関として大学を経常的に維持運営するための基盤的費用で、科目授業料は卒業に必要な学士課程124単位の修得に課せられる費用となっています。
また奨学金や助成金は種類が少ないながらも、成績優秀者は利用できます。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 300,000円 |
基礎授業料 | 800,000円 |
科目授業料 | 465,000円 |
施設設備費 | 350,000円 |
合計(年間) | 1,915,000円 |
◆学業優秀奨学金
金額:10~20万円
条件:2~4年次生
◆学長賞(学部2~4年)
金額:5万円~20万円(最高20万円)
条件:社会的に高い評価を受けた学生(
著名なコンクールでの受賞、学術活動が表彰されるなど)
日本大学藝術学部の学費も200万円弱と、東京5美大の中では平均的。入学金は他校よりも若干安く設定されています。
ただ、日本大学藝術学部の場合は奨学金の種類が豊富であるものの、2019年現在は大学独自の助成金が特に設けられていません。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 260,000円 |
授業料 | 520,000~570,000円 |
施設・設備資金 | 200,000円 |
実験実習料 | 25,000~75,000円 |
合計(年間) | 1,780,000~1,980,000円 |
特になし
女子美術大学の学費は初年度で190万円ほど。美術学科やデザイン・工芸学科などさまざまな学科がありますが、授業料が大きく変わることはありません。
また、一般試験で上位2位に入ることができれば、授業料の全額が免除される制度も設けられています。数ある生徒の中からたった2名と難易度は高くなりますが、授業料を全額免除してくれる学校はなかなか珍しいといえるでしょう。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 220,000円 |
授業料 | 1,198,000円 |
施設・設備資金 | 360,000円 |
実習料 | 38,200~66,200円 |
維持費 | 50,000円 |
合計(年間) | 1,876,360~1,909,360円 |
◆特待生制度
金額:授業料の全額
条件:一般入試A日程の総合成績、上位2名以内の学生
国内における美大の最高峰・東京芸大の入学金や年間の授業料は、他の国立美大よりも高く設定されています。これは2019年以降の入学生を対象に、授業料が増額されたため。そのぶん国内をリードする美大に相応しい、ハイレベルな環境で芸術を探求するキャンパスライフを送れるでしょう。
また多くのアーティストを輩出してきた美大だけあり、卒業生や教授など著名人が設立した独自の奨学金制度が多数用意されています。対象者を美術学部や専攻に限定するものもあり、奨学金を受け取れるチャンスが多数。後進育成に力を入れていることが伺えます。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 338400円 |
授業料 | 642,960円 |
諸経費 | 349,660円 |
初年度合計 | 133万1,020円~ |
◆安宅賞奨学基金
金額:24,000円
条件:美術及び音楽学部学生で成績優秀な学生
◆平山郁夫奨学金
金額:200,000円
条件:美術学部学部学生及び大学院生で、優秀な成績を修めた学生
◆O氏記念賞奨学金
金額:未定
条件:油画学生のうち、成績優秀な学生
◆俵奨学金
金額:200,000円
条件:美術学部絵画(版画)の学生
◆久米桂一郎奨学基金
金額:未定
条件:油画専攻及び彫刻科学生で、成績優秀な学生
他
30~40万円受け取れる大学独自の奨学金を用意している愛知県立芸術大学。入学金・授業料は他の国立芸大と大きな差はありませんが、美術学部の諸費用も合わせると他の美大よりも高くなるようです。
美術学部の学科ごとに、「諸費用」にあたる教材費や古美術研究旅行費が異なります。最も高いのは、彫刻科の40万円。ただし、教材を自分で用意する日本画や「適宜徴収」となっているデザイン科など、諸経費が不明な科もあります。
また4年間の芸術祭の費用として3万円、大学後援会費の1万円など、全学部共通の諸経費も必要です。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 282,000円 |
授業料 | 535,800 |
全学部共通諸経費 | 44,660 |
施設設備費 | 862,460円~(別途、教材費・研究旅行費が必要) |
初年度合計 | 1,915,000円 |
◆片岡球子基金
金額:400,000 円
条件:学業優秀な学生
奨学金や海外渡航費を給付
◆公益財団法人豊秋奨学会
金額:月額50,000円
条件:日本画又は油画専攻の学部生・大学院生
採用人数3名
◆公益財団法人日本交通文化協会 国際瀧冨士美術賞
金額:300,000円
条件:美術学部4年生
採用人数1名
入学金は、金沢市内に住んでいる場合は表に記載された28万2,000円ですが、市外の場合は42万3,000円に。また諸経費として、後援会費にあたる「成美会費」に6万円、研修旅行費に10~20万円必要です。
奨学金は給付型を多く用意しており、主に1年次と4年次が対象になっています。なかには50万円を超える額を受け取れる奨学金も!優秀な学生を経済的に支えてくれる制度が充実しています。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 282,000円 |
授業料 | 535,800円 |
諸経費 | 70,000円 |
研修旅行費 | 100,000 |
初年度合計 | 987,800円~ |
◆中村積善会奨学金
金額:960,000円
条件:不明
◆大森昌三記念財団奨学金
金額:360,000円
条件:不明
◆神山財団芸術支援プログラム
金額:200,000円
条件:不明
◆国際瀧富士美術賞
金額:300,000円
条件:不明
◆佐藤国際文化育英財団奨学金
金額:360,000円
条件:不明
◆電通育英会大学奨学生
金額:(平均)780,000円
条件:不明
◆戸部眞紀財団奨学生
金額:600,000円
条件:不明
◆日本文化藝術奨学金
金額:500,000円
条件:不明
入学金を出身地で分けています。市内の場合は他の国立美大と同じく28万2,000円ですが、市外の場合は48万2,000円と、50万円近い額に。
最も受給人数が多い奨学金として、兵庫県内の高校を卒業した美術学部生向けの「(公財)香雪美術館奨学金」があります。自宅からの通学で月4万円、一人暮らしを始め自宅外の通学なら5万円を毎月給付されます。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 282,000円 |
授業料 | 535,800円 |
初年度合計 | 817,800円~ |
◆(公財)中信育英会奨学金
金額:20,000円
条件:学部2回生
◆(一財)京信榊田喜三記念育英会奨学金
金額:500,000円
条件:兵庫県内の高校を卒業した美術学部・大学院生
◆(公財)香雪美術館奨学金
金額:【自宅】40,000円【自宅外】50,000円
条件:兵庫県内の高校を卒業した美術学部・大学院生
◆(公財)佐藤国際文化育英財団奨学金
金額:30,000円
条件:油画・日本画・版画専攻の正規生(35歳未満)
◆(公財)日本文化藝術財団加藤定奨学金
金額:300,000円
条件:学部2・3回生
◆(公財)戸部眞紀財団奨学金
金額:50,000円
条件:学部3回生以上(30歳以下)
入学金や授業料は、国立美大としては平均的。
家庭の事情により学費を納めるのが難しい場合に適用される奨学金として、給付型のつくばスカラシップが利用できます。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 282,000円 |
授業料 | 535,800円 |
初年度合計 | 817,800円 |
◆【給付】つくばスカラシップ
金額:20万円
条件:主たる学資負担者の死亡をはじめ、家計が急変したことにより修学が困難な学生
書作・書学・文房四宝・作品の表装および印などを通して、書についてさまざまな角度から知識を深め、学ぶことができます。キャンパスには常設展示スペースやアトリエが設けられており、学習環境も充実しています。
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 210,000円 |
授業料 | 1,206,000円 |
初年度合計 | 1,440,900円 |
◆大東文化大学学業成績優秀者表彰制度「温故知新報奨金」
金額:20万円
条件:前年度の修得単位数が30 単位以上で、かつ学業成績が特に優秀であると認められる学生 ほか
◆大東文化大学 特別修学支援金
金額:50万円(毎年度1回)
条件: 家計維持者や学費支弁者が何らかの理由で経済的に困窮したことにより、修学の継続が難しくなった学生
大東文化大学文学部書道学科の入試概要とコースの内容を見る>>
京都美術工芸大学の芸術学部は、デザイン領域と工芸領域の2つから成り立っています。デザイン領域では、2年次前期まで横断的にさまざまなデザインを学び、そのうえで後期からは自分が選んだ表現方法についてスキルや深い知識を身に付けていけるカリキュラムです。
※学費などに関する記載はありませんでした
◆総合型選抜入試教育支援奨学金
金額:15万円
条件:総合型選抜(Ⅰ〜Ⅲ期・芸術学部のみ)で入学した学生
2019年度以降の学士課程および大学別科入学者、2020年度以降の大学院課程(修士課程・博士後期課程)入学者に係る授業料を、現行の年額535,800円から20%(107,160円)引き上げ、年額642,960円とします。
これによる収入は、本学が世界の一流芸術大学と伍して行くための教育研究の高度化や、トップアーティスト育成の中核をなす「実技指導」の重点強化等に充当し、学生たちに還元します。
※2018年度以前に入学した学士課程および大学別科の学生、2019年度までに入学した大学院課程の学生については、当該課程に在学している期間は、2019年度以降も現在の授業料のままです。
本授業料の引き上げにより教育の機会均等の確保が損なわれないよう、大学の自己収入などの財源を用いて、次の手当てを講じます。
1.引き上げ額を含めた授業料の減免の実施
2.経済的な理由で修学困難な学生に対する「修学支援奨学金(給付型)」を新設
引用元:東京藝術大学
https://www.geidai.ac.jp/news/2018102671472.html
適用は、2019年4月の入学者と2020年4月の大学院進学者が対象のようです。学費増額は、主に世界進出を視野に入れたより高度な学問追求のため、海外の第一線で活躍する芸術家を誘致することなどに充てられる、前向きな改定のようです。