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ルネサンス美術

ルネサンス美術とは

ルネサンス美術はイタリアのフィレンツェを中心に発展した美術で、14世紀から16世紀の期間に当たります。「ルネサンス」とは「再生」という意味であり、古代ギリシャやローマ時代の古典的な芸術を復興した様子から呼ばれるようになりました。中世までの美術とは異なり、当時の文化人たちは古代の書物や学問を学び、いまの時代に「再生させる」という意識を強く持っていたのです。

ルネサンス美術が栄えた時代は、人々を支配しようとする教会への反発や、経済の発展に伴う社会の変化などを受け、人々は人間的な生き方を求めるようになった時代です。理想とされていたのは人間を中心とした文化であり、この時代の作家たちは化学の分野にも関心抱きつつ、人間の個性や人格を尊重した世界観を提示していきます。

ルネサンス美術が登場する以前は、「現世は苦しみの世界である」という考え方が主流だったため、彫刻や絵画において描かれるキリストは悲しい顔をしており、マリアも切なげに目を伏せ、使徒たちも厳しい表情をしていました。キリスト教では現世の苦しみに耐え抜いたものだけが死後天国へ導かれるとされていたので、その世界観が反映されていたのです。

苦しみの現世は創造の現世へと発展

ルネサンス美術において、人々は死後よりも現世での生活に可能性を見出します。これはキリスト教を否定するものではなく、「キリスト教と調和し、伝統的なテーマに新たに人間的な解釈を加えよう」という試みでした。ルネサンス美術はただ古典美術をまねるのではなく、それ以上のものを創造しようとしたのです。

リアルと理想の兼ね合いを取るのがルネサンス美術の課題であり、これまでの美術の世界観ではタブーとされていた自然美や現実世界の価値を新たに投げかけました。ルネサンス美術の基となるのは古典美術と科学ですが、それはあくまで土台として考え、そこに人間の肉体のすばらしさや人生の歓びも加えて表現しようとしたのがルネサンス美術の特色です。

ルネサンス美術の歴史

ルネサンス黎明期

ルネサンス黎明期は1300年~1400年頃を指します。「黎明」とは新しい時代の幕開けを表す言葉であり、夜明けという意味を持ちます。暗い時代が終わり、明るい時代が来たことを言葉で表現。ルネサンス黎明期は三大巨匠と呼ばれるブルネレスキ、マサッチオ、ドナテッロが活躍しました。

初期ルネサンス期

1400年~1495年に当たる初期ルネサンス期。建築家のブルネレスキが遠近法を発明して「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」を建てたり、画家のマサッチオが遠近法を絵画に応用して、「貢の銭」を描いたりしました。また、彫刻家のドナテッロは透視図法を駆使して像を制作。上記の芸術家に加えヴェロッキオも登場し、後にボッテチェリやダ・ヴィンチなど、そうそうたる面々を弟子として世に送り出しました。

盛期ルネサンス期

盛期ルネサンス期は1495年~1520年という、30年にも満たない短い期間でした。しかし、レオナルド・ダ・ヴィンチが自身の代表作である「モナ・リザ」や「最後の晩餐」を描いたり、ミケランジェロが「像」や「サン・ピエトロのピエタ」を作り上げたり、ラファエロ・サンティが「アテナイの学堂」を描いたりなど、ルネサンス美術の最盛期でした。

ルネサンス美術はどのように生まれた?

ルネサンス美術の発展を支援したメディチ家

13世紀以前は貴族が主軸となって展開していたキリスト教ですが、ルネサンス美術が栄えた時代は庶民にまで広まっていました。キリスト教の聖地であるローマやエルサレムなどへ聖地巡礼がされるようになりましたが、イスラム勢力に支配されていたため、キリスト教徒はイスラム教徒から土地を奪い返そうと十字軍を派遣。

この十字軍遠征によりフィレンツェの国際金融業は急速に発達しました。急速な発達を支えたフィレンツェの実業家でしたが、百年戦争によりイギリスが借金をし、エドワード三世が自ら踏み倒してしまいます。その結果、フィレンツェで名を馳せていた銀行も倒産し、新興勢力の一つに過ぎなかったメディチ家がルネサンス期最大のパトロンになったのです。

メディチ家をはじめ、裕福な市民は学者や芸術家を保護しましたが、やはりメディチ家の後ろ盾は大きく、圧倒的な金額を援助していました。メディチ家の援助額はトップであり、メディチ家の支援がなければここまでルネサンス美術が花開くことはなかったといわれています。

ルネサンス美術の絵画表現

遠近法発明や油彩技術の発展

ルネサンス美術では、ゴシック美術では取り入れられていなかった光と影の表現が取り入れられるようになります。また、写実性を重視していたこともあり、距離感を出すために手前の人物と遠くの人物とで差を出す手法が生まれます。上記の手法を「遠近法」といい、これまでの絵は平面的でしたが、フィリッポ・ブルネレスキが遠近法を発明したことで立体感や奥行きのある絵が描かれるようになりました。なお、油絵が描かれるようになったのもこの時代からです。

ルネサンス美術の代表作

ルネサンス時代に活躍した画家はたくさんいますが、その中でもダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロは有名です。ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」や「最後の晩餐」、ミケランジェロの「ダヴィデ像」や「最後の審判」、ラファエロの「アテネの学堂」は知っている人が多いでしょう。また、ジョットのフレスコ画「ユダの接吻」やボッティチェリの「春(プリマヴェーラ)」もルネサンス美術の代表作です。

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