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絵をはじめると誰もが抱える悩みの一つが、「形をうまく取れない」ことです。ここではデッサンの形を取れずに悩んでいる方へ、その原因や解決法をご紹介します。
デッサンで形を取る際は、一度で正確な形を取ろうとすると上手くいきません。何度も形を取り直すことが重要です。形を取るのが上手な人は、一回で形を取っているように見えても、必ず修正を加えています。決して一度で形を取っているわけではないのです。正確に形を取るには、経験の少ない方ほど、「繰り返し形を取り直す」ことが重要になります。
上手に形を取るためには、初めに目安となる形を描き、ズレている箇所を修正。これを何度も繰り返して、最終的に正確な形へと近づけていきます。なかなか根気のいる作業ですが、コツコツと真面目に描き続けることがステップアップにつながります。
形を上手く取る練習には、対象を素早く描く「クロッキー」が有効です。ただクロッキーは短い時間で素早く描くため、慣れていても形が崩れやすいもの。そのため形をうまく取れない方は、まずゆっくりと時間をかけて正確な形を取ることに集中し、慣れてきたらクロッキーを取り入れると良いでしょう。
対象物の形に思い込みを持っていると、ズレに気付けず、正確な形を取ることが難しくなります。この思い込みを払拭するには、対象物の写真を撮り、その写真を見ながら描くと良いでしょう。写真を見ながらデッサンすることで、空間に捉われることなく、対象物を間近に並べて比較しながら描けて、さらに視点のズレも抑えられます。
本来、デッサンや着彩を行う際は「空間」を意識しながら描きますが、形を取ることに慣れていない場合は、モチーフの位置や距離、明暗などの情報が邪魔をし、形を正確に取ることに集中できなくなります。
写真は3Dを2Dに変換してくれるので、空間の要素を排除でき、モチーフの形を見ることに集中しやすくなるのです。形の取り方のコツを掴む上で、写真を見ながら描く練習は、有効と言えるでしょう。
ただ、慣れ過ぎは禁物です。写真はあくまでも補助的な道具と考え、最終的には空間があっても形を正確に取ることを目標にしましょう。
デッサンでモチーフの形が上手く取れない方は、構造を理解しないままに描いているケースが非常に多いです。人物や静物に限らず、どのようなモチーフであっても、構造を頭や感覚で把握できていないと、形を捉えることは難しくなります。モチーフの表面だけでなく、その物を形作っている要素にも目を向ける必要があるでしょう。
構造を理解するには、建築や設計などで使われる「三面図」の考え方を練習に取り入れるのがおすすめ。三面図とは、モチーフを正面・上面・側面から見た平面図のこと。この3面から見た図を立体に描き起こす練習は、光や影にはあまりこだわらなくても構いません。
ある程度、形が取れるようになると、次は表面や影を描く段階になります。形を正確に取るためには何度も繰り返し修正が必要です。しかし手間をかけて修正したものを再び消すことになると、どうしても勿体なく感じてしまい、消すことをためらいがちです。ここで修正をやめてしまえば、上達できません。形の狂いに気付いたら迷わず修正する癖をつけることが重要です。
直線は単純な性質のため、モチーフの比較や理解をするのに便利です。直線を下地にしてデッサンをすると、動植物や人体、風景など、複雑な形のモチーフでも正確に描けるようになります。
直線を使ったデッサンを行うには、まずモチーフの形を単純化して捉え、計測に必要な直線を引くことからはじめます。次に描く部分の形が水平線や垂直線に対して、どれくらい傾いているかを計測します。もちろん実際に見ているモチーフに直線はありませんが、必要に応じてグリッド線を用いて、モチーフの立体的な傾きを、単純な直線で捉えていきます。
モチーフの形を計測するだけでなく、実際に描写する際にも、直線を用いて描き進めると良いでしょう。モチーフの形を感覚で把握するより直線を使った方が、正確な形を描きやすくなります。
直線で描く際は、最終的な描写に影響しないよう、弱い筆圧で描くことがポイントです。面と面の境界線や輪郭線を直線に置き換え、長さや傾きを計測しながら描いていきます。
デッサンはモチーフの形を見たまま正確に再現することが目標ですが、直線を使って描くデッサン方法の目的は、実際の形をそのまま写しとることではありません。長い直線から短い直線へと少しずつ変えていき、いつの間にかモチーフの形があぶり出されるという状況に持っていくことがポイントです。