美術予備校の厳選比較ガイド HOME » 美大受験の攻略法 » デッサンでの鉛筆の使い方

公開日: |更新日:

デッサンでの鉛筆の使い方

鉛筆は、デッサンの仕上がりを左右する重要な道具です。種類も各メーカーからさまざまなものが販売されています。ここでは、デッサンが初めてという方や、美大受験に向けて基礎を確認したいといった方のために、鉛筆の選び方や持ち方、使い方について詳しく解説します。

鉛筆は何でできている?

鉛筆の芯は「炭素」でできています。「炭素」は炭の塊のようなもの。少し粘りのある固形の状態から、紙などの表面に鉛筆の芯が擦れ、削れた粉が紙に付着することで描画できます。一方、デッサンをする際に使う紙は、繊維を固めて作られています。紙の表面はつるつるではなく、無数の繊維が複雑に絡み合っているため、紙に強い筆圧で描くと、紙の繊維が潰れ、繊維の中に鉛筆の粉が入り込みます。この状態では、いくら消しゴムで消しても粉が取りきれず、跡が残ってしまうということになります。

さらに、手や指などで画面を擦ったり押さえたりすると、手の皮脂や汗も一緒に付着するため、鉛筆の線を消すことは困難になります。また、油分や水分で鉛筆の粉が伸び、画面も汚くなってしまいます。

「粉」の定着力を利用する

デッサンをする際には、描きたい部位にどのような表現を用いるか、それに相応しい鉛筆の種類は何かといったことを体で覚えることで、初めて描くモチーフでも躊躇せずに描けるようになります。

鉛筆を軽く持ち、紙の表面を撫でるように線を描くと、鉛筆の粉は表面に乗っているだけの状態になり、その線を消すのも簡単です。この描き方は、アタリや補助線を描くとき、「軽さ」「柔らかさ」といった表現などに使われます。

反対に、鉛筆を強く持ち、強い筆圧で線を引くと、鉛筆の粉が紙にしっかり刷り込まれるため、色の濃い線が描けます。この描き方は、光沢など明暗をハッキリつけたいときに使われます。ただ、キレイに消せない可能性が高いため、慎重に考えながら線を乗せていくことが大切です。

デッサンの表現力をアップさせるためにも、鉛筆はインクのように紙に染み込んだりせず、あくまで「粉」であるということを頭の片隅に留めておきましょう。

デッサン用鉛筆の選び方

デッサンでは、使う鉛筆の種類によって風合いや質感などの仕上がりが変わってくるため、鉛筆選びは非常に重要なポイントです。

とはいえ、人によって描きやすさは異なります。自分にしっくりくる鉛筆を選ぶには、各メーカーの鉛筆を一本一本試してみるしかありません。鉛筆を購入するときには、実際に握ってみて、グリップ感を確かめましょう。一見、同じように見える鉛筆でも、それぞれフィット感は違います。長時間のデッサンで使用しても疲労感を覚えにくい鉛筆を見つけてください。

またデッサンで使う鉛筆は文字を書くときとは違い、折れにくい芯のものを選ぶと良いです。

鉛筆の硬さは10H〜10Bまである

鉛筆の芯は、一番硬いものが10H、一番柔らかいものが10Bで、全部で22種類あります。

「H」は「Hard」、「B」は「Black」を表しており、HとHBの中間に位置する「F」は「FIRM」のことで、「堅い」「しっかりした」といった意味があります。

「H」の前につく1〜10の数字は、硬さレベルを表しており、数字が大きくなるにつれて硬くなります。反対に「B」の前につく1〜10の数字は、柔らかさレベルを表しており、数字が大きくなるにつれて柔らかくなります。

したがって、一番硬い鉛筆から一番柔らかい鉛筆まで表記すると、以下のようになります。

  • 10H/9H/8H/7H/6H/5H/4H/3H/2H/H/F/HB/B/2B/3B/4B/5B/6B/7B/8B/9B/10B

デッサンでよく使う鉛筆は「3H〜3B」

美大でアトリエに入ると、鉛筆の種類に指定があったり、全部揃えるように要求されたりします。あまり使用頻度の高くない鉛筆もありますが、ここぞという時にないと困るので、できるだけ揃えておくことが大切です。

とはいえ、芯が柔らかすぎると折れやすく、硬すぎると紙を傷めやすいため、デッサンでは一般的に3H〜3Bの鉛筆が使われています。中でも、2BやHBの鉛筆をよく使います。

デッサン用鉛筆のメーカーと特徴

ハイユニ

三菱鉛筆がデッサン用として販売している鉛筆です。柔らかいのに、粘度が高く折れにくいのが特徴。描き心地は滑らかで、キレイな線が引けます。初心者から上級者まで、愛用者の多い鉛筆です。

ユニ

ハイユニと同じく、三菱鉛筆からデッサン用に販売されている鉛筆。グレードはハイユニより低いものの、ハイユニよりリーズナブルな価格設定で、初心者やコスパ重視の人に多く愛用されています。

ステッドラー

ドイツの文具メーカーが展開する鉛筆で、描画用「カーボン鉛筆」と「製図用鉛筆」があります。製図用鉛筆は硬めで折れにくいのが特徴で、紙に定着しやすく、均一な線が描けます。またカーボン鉛筆は、描き心地が独特で、ガサガサとしています。濃い黒が描けるだけでなく、自由な濃淡表現が可能です。紙にもしっかり定着してくれるので、紙が汚れにくいのが特徴です。

デッサン用鉛筆の削り方

デッサンでは必要に合わせて、文字を書くときとは違う持ち方で鉛筆を持ちます。デッサン用の鉛筆は、芯が柔らかいことに加え、面で塗ったり、ソフトなタッチで描けるように芯を長めに出したりするため、鉛筆削りは使わず、カッターで削ります。

カッターを使い、デッサンで使いやすい形に削るには、練習が必要です。デッサン用鉛筆の削り方のポイントを押さえて、削り方をマスターしましょう。

カッターを固定して持つ

まず、利き手にカッターを持ち、反対の手に鉛筆を持ちます。鉛筆の印刷部分にカッターの刃をあて、カッターの刃の背の部分を、鉛筆を持っている方の親指で押しながら、3~4cmくらい削ります。

鉛筆の芯が1cmくらい出たら、今度は芯の先端をとがらせます。紙に鉛筆の芯をつけ、回転させながら表面を滑らかに整えて完成です。

ポイントは、カッターを持っている方の手で鉛筆を削るのではなく、鉛筆を持っている方の手でカッターの刃を背中から押して削ることです。

芯の柔らかい鉛筆は、芯を長く出しすぎると折れてしまうため、芯の硬さに合わせて長さを調節してみましょう。

カッターの切れ味を維持する

鉛筆をうまく削るには、慣れも必要ですが、カッターの刃の切れ味にもかかっています。切れ味の悪いカッターを使っていると、ケガの原因にもなります。カッターの切れ味が悪くなってきたら、刃を折ったり、新しいものと交換したりして、常に良い切れ味を維持するようにしましょう。

鉛筆デッサンでの鉛筆の持ち方

デッサンでは、描く部分や表現によって、鉛筆の持ち方や使い方が変わります。

描き始めは鉛筆を寝かせて持ち、大まかに描いていきます。紙を汚さずに線をすぐに修正できるよう、はじめは2B〜4Bくらいの柔らかい鉛筆で描きます。あとから修正できるよう、力を入れず、常に軽く持つことが大切です。

構図が決まり、モチーフのあたりがとれたら、鉛筆を寝かせたまま長めに持って、陰影をつけていきます。明度が低いところは、5Bや6Bの鉛筆を使っても良いでしょう。

陰影を捉えたら、徐々に鉛筆を短めに立てて持ち、細部を描いていきます。最終的に細部を仕上げる際は、文字を書くときのような持ち方で描きます。細部を描く際は、モチーフの陰影に合わせて、3H〜6Hの鉛筆を使い分けます。

デッサン用鉛筆での比率の測り方

デッサンの実技試験では、モチーフの形を正確に捉えられるかどうかをみられるため、写実的な表現を習得する必要があります。

基礎的な画力があることを示すため、鉛筆などを使って正確な比率を測り、紙に再現する方法を学びましょう。

鉛筆の持ち方と使う部位

モチーフの比率は、地面に対して鉛筆を垂直に持ち、鉛筆の先端から親指の先の間で測ります。このとき、鉛筆を垂直に持てていることが重要です。持ち方が悪いと正確な比率が測れず、デッサンが狂ってしまいます。

モチーフ全体の比率を測る

鉛筆を垂直に持てたら、まずはモチーフの縦と横の比率から測ります。はじめに縦の比率を測ったら、親指の位置を変えずに鉛筆を左に90度倒し、今度は横の比率を測ります。

コツは、モチーフ全体を背景として捉えること。複数のモチーフを描く際は一つひとつの形から比率を取ると、全体が歪みやすくなるため、モチーフ全体を一つの背景として意識することで歪みが抑えられます。

大枠の接点の比率を測る

縦横の比率を測り、モチーフ全体の大枠がとれたら、上下左右にはみ出ているポイントを大枠に記しておくことで、より歪みを抑えられるようになります。

例えば、上辺の1/3のところに一番高いモチーフの頂点がくるといった具合に、縦横の辺のどの位置にモチーフの接点がくるかを測ります。

細部の比率を測る

大枠の接点と同様に、徐々に細かい部分の比率を測って描いていくことで、デッサンの精度が上がります。

受験では時間が決められているため、比率を測ることだけに集中していると、描写する時間がなくなってしまいます。時間配分を考え、細部の比率は、ここまで測ったら形を正確にとれるというレベルまでにとどめておきましょう。

美大にいくには??マンガでわかる受験&合格への道 詳しくみる
あなたの合格をサポートできる おすすめの美術予備校を徹底比較 さっそくCHECK
美大にいくには??マンガでわかる受験&合格への道 詳しくみる あなたの合格をサポートできる おすすめの美術予備校を徹底比較 さっそくCHECK
美大にいくには??マンガでわかる受験&合格への道 詳しくみる
       

関連ページ一覧

東京藝大の合格者多数!おすすめ美術予備校5校
東京藝大の合格者多数!おすすめ美術予備校5校