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同じ美大でも、学部・学科によって倍率が大きく異なるのはなぜですか?

ファイン系・デザイン系など、学部や学科によって倍率に差が出る美大。その理由について解説します。

Q.同じ美大でも学部によって倍率が大きく異なるのはなぜですか?

私が目指している美大では、「絵画学科:9.1%」「彫刻学科:3.9%」「工芸学科:6.1%」と学科によって倍率が大きく異なります。

同じ大学にもかかわらず、なぜ学部や学科によってこんなに倍率が違うのでしょうか?美大の中には、東京藝大をはじめ「難関美大」と呼ばれている大学もありますが、そのような大学でも倍率は学部によって差があるのでしょうか?

A.一度学部・学科を決めると変更が難しいため倍率に差が出ます

文系学部の志望者が入試直前になって理系学部への希望進路が難しいように、美大でもデザイン系からファイン系へ急に変更するのは、現実的ではありません。なぜなら芸術系の各学科で、探求する内容や実技試験が異なるからです。

例えば東京藝大の芸術学科・先端芸術表現は、美術史を探求する学問領域であり、合格にはセンター9割の点数が必要です。実技試験に重きが置かれる美大において、他の学科とは違う受験対策が必要です。先端芸術表現から急にデザイン系に変更しても、ほぼ対策していない状態で受験することと同じになるため、現実的ではありません。もちろん、ファイン系・デザイン系同士でも同じことが言えます。

つまり、「成績が悪いから、倍率の低い学科に変更しよう」と考えても、合格は難しいのです。

一般的な大学であれば「学科は何でもいいから、とにかくこの大学に入りたい!」という人も一定数いるため、倍率の低い学科がならされて一定になるでしょう。そんな他大学と比較すると、より美大の倍率の差が目立つので、心配になる受験生は多いかもしれません。

実はあまり気にする必要がない「美大の倍率」

受験シーズンになると誰もが気にする「倍率」ですが、この数値をあまり気にする必要はありません。もちろん、倍率の数値として正しい数字が公表されます。しかしさまざまな理由により、実情とは少しズレた数字に見えることもあるのです。

各大学の倍率は毎年のデータをもとに算出されているわけですが、いろいろな算出方法や解釈で求められています。そのため、あくまでも参考程度に見るのが良いでしょう。

倍率があてにならない理由1:定員の変更

どこの大学でも、一般入試の定員を減らしその分をAOや推薦入試、もしくはセンター方式に回すというのはよくある話です。そうなると、一般入試の志願者数のみならず母数も減ることになりますので、倍率が前年より上がったように見えます。

そのため、大学関係者は全く倍率を気にしていないのだそうです。

倍率があてにならない理由2:併願(併用)

受験者の中には複数の美大を受験し、一般方式とセンター方式を併願している人も少なくありません。しかし、合格した際の選択肢は1つのみとなりますので、全て合格していたとしても1校以外は蹴ることになります。つまり、倍率が高いからといって合格者全員がその学科を選ぶわけではありません。結果的に、本来の倍率は下がることになります。

倍率があてにならない理由3:補欠

大学受験では「補欠の繰上り数」がありますが、この数値こそあてになりません。去年まではたくさんの繰上りがあったと思えば、今年は数番しかない…というパターンはよくある話。補欠数は「常に調整される数字」と考えるのが正解でしょう。

そして倍率というのは、受験者数を「合格発表数+補欠繰上げ数(入学決定数)」で割った数字です。倍率が3倍を超えることが少なくない美大ですが、この数字を見て焦ったり落ち込む必要はありません。合格への最短コースは学科変更ではなく、目標としている大学・学科を目指して、地道に美術予備校でキャンバスに向き合い続けることです。

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