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日本大学芸術学部といえば、映画や舞台演劇を連想しますが…美術学科・デザイン学科もそれらの学部と同等の歴史を持ち、多くの著名人が卒業しています。また、枠は非常に狭いですが実技のいらない受験方式もあるので、チャレンジ精神だけで合格できる可能性もあります。
日本大学芸術学部(通称:日芸)は、多くの俳優さんや映画監督の母校としても知られる学校であり、現在も映像作品作りや舞台演劇を夢見る学生達が数多く入学を希望しています。そのため映像や監督、演技コースなどは軒並み10倍を超える倍率となっているのですが…実は、美術学部・デザイン学部は意外と倍率が低く、入学しやすい穴場なのです。
また、一般的には芸術系大学は実技を要求されるものですが、「N方式」という日大の統一入学試験を受ける場合はなんと学科のみ。熱い情熱と資質があり、学力が基準を満たしていれば入学できるとのこと…しかし、N方式で募集する学生の数は美術(絵画・彫刻)で2名というかなり狭き門なので、確実さを求めるならばA方式を選ぶほうが良さそうです。
美術学科はそれぞれ機材が豊富なアトリエで4年間じっくりと作品作りに打ち込みます。デザイン学科は1年次にそれぞれの適性を知り、アーキテクチャー(建築含む)・スペース・プロダクト・インダストリアル・インタラクション・メディア・グラフィックの領域に分かれて専門分野を学びます。少人数制で専任の教員がじっくりと見てくれるので、4年間でクリエーターとして大きく成長する事ができますよ。
受験のチャンスも2月から3月まで複数回あるため、確実に現役で美大への切符をつかみたい方にはかなりオススメです。
4年間じっくりと絵画を学んでいく絵画コース。1・2年次では、デッサンや油彩で人体を描くための基礎を固めます。色や形、コンポジション、絵画空間の考え方といったカリキュラムで構成。3年次になると、基礎を踏まえながらより専門的なスキルの習得を目指します。知識の向上や表現力などを磨けるのが特徴です。
4年次では、これまでの学びをもとに卒業制作を実施。4年間で培ったスキルを発揮させる場なので、自分が表現したいものを自由に形にできます。
柔軟性のある人材の育成と表現方法の習得を目指す版画コース。デッサンやドローイング、色彩のイメージを表現することを学び、専門的な版画制作を通じて表現の可能性を広げられます。
1年次では人物モデルを使った実習が中心です。自画像や静物、風景などのデッサンといった課題を反復し、描くための基礎を磨いていきます。2年次に上がると、基礎的な内容を発展させた課題を行ない、3年次以降は専門的なスキルの習得に励みます。校外授業では、紙すき実習や美術館見学などがありますので、優れた作品に触れることで刺激を受けながら版画の表現方法を学べます。
日芸の彫刻コースでは、ものを見る力・造る力を育成。彫刻の視座を持つことで、時代に流されない基盤を身につけていきます。授業では自然観察やモデル実習、実在実習(木、石、鉄)など、彫刻の基礎を修得。その後、個々が持つ自由な発想で自主制作へと進みます。
4年間で各々の感性や表現力、造形の考察を深め、創造的な個性を追求していく日芸。のびのびと自分の感性を磨けるので、充実した学びを受けることができるでしょう。
広告やポスター、グラフィックサービス、家具、住宅などあらゆるジャンルのデザインを総合的に学べるデザイン学科。幅広い知識と専門性を持ったデザイナーを育成できるように、さまざまな知識と技術を学んでいきます。1年次では、デザインの基礎知識の修得に専念。2年次以降は、自らが選択した専門科目を中心に、自由に学びながらデザイン手法を学びます。
日芸のデザイン科が目指すものは、社会に貢献できるデザインの可能性です。さまざまな社会からのニーズに対して臨機応変な対応ができるよう、デザイン力を伸ばしていきます。
映画学科では、芸術創造と情報伝達の両面から研究を行っていきます。
1年次では映像表現・理論、撮影・録音、演技、監督の4つのコースから選択。それぞれの目的に合ったオリジナルのカリキュラムを学びます。映画の歴史や演出、編集など映画に関することを深く学べるのが魅力です。一人ひとりが高い専門知識とスキルを身につけることで、業界のスペシャリストとして活躍できるように指導してくれます。
写真を撮ることが好きな人におすすめなのが写真学科です。ただ写真を撮る技術を習得するのではなく、さまざまな芸術的教養と知識を身につけた写真家の育成を目指す学科。
授業では、広告写真や報道写真などの撮り方を学ぶ写真表現や、デジタル写真と画像の処理についての知識を学ぶ画像処理など幅広い講義を用意。展覧会やイベントなどの作品を発表する場も設けているので、自分の作品を多くの人に見てもらえます。
音楽学科では幅広い視野と豊かな教養を学び、じっくりと専門知識を身につけていきます。コースは作曲・理論、音楽教育、声楽、ピアノ、弦・管打楽、情報音楽の6つです。授業では教授と学生のふれあいを最も大切にしているため、個別指導を行っています。音楽家としての基礎を学んだり、コースごとの専門教育を受けたりできるのが魅力です。
また、オペラやピアノコンサート、定期演奏会の機会を設けているので、同じ志を目指す仲間と一緒に音楽を楽しむことができますよ。
映画学科に所属していて、発声・演技に関する講義を担当している講師です。自身も日本大学芸術学部映画学科の卒業生。卒業時には「演技者における鼻濁音の必要性」「自覚のある場合の測音化構音改善のための指導過程」といった発声についての論文を発表し、映画学会奨励賞を受賞しています。日本テレビのドラマで発声・演技指導を担当。これまでに10を超える舞台やテレビ番組で活躍しています。
映画演技実習/演技指導実習/発声/映画研究/総合制作演習/音声学
映画学科で講義を担当している松島教授。日本大学の卒業生で、数多くの演出・監督作品を持つ方です。2002年には短編自主製作映画「宇宙の夏」を公開し、米ヒューストン国際映画祭の短編ファミリー部門ゴールドスペシャル審査員賞を受賞した経歴を持つ実力派。2004年には「新しい風」で同国際映画祭の長編部門グランプリにも輝いています。映画の脚本や演出、HDカメラの扱い方についてなど、実践的な技術を学べます。
映画演出/映画技術/シナリオ作法
引用元:MovieWalker
https://movie.walkerplus.com/mv58537/
文芸研究・原書講読などを担当している講師。宮沢賢治研究者として有名で、これまでに「宮沢賢治のちから」「賢治文学『呪い』の構造」といった著作を執筆しています。一度は読みたいと思いながらも手に取るのをためらってしまう名著を紹介するテレビ番組「100de名著」の宮沢賢治スペシャルに出演した経験も。平塚らいてうや樋口一葉、林芙美子などの女性作家にも精通しています。近代文学についての深い見地を学べますよ。
文芸研究/文芸研究実習/文芸特殊講義/原書講読
引用元:amazon
https://www.amazon.co.jp/清水正の宮沢賢治論―解体・再構築批評によるケンジ童話論の革命-山下-聖美/dp/4434231952
曲合板・パイプベンディング・溶接・真空成型などを応用したモノづくりを研究している講師です。リサイクル素材を使用した作品制作にも対応。壊れて捨てられてしまったビニール傘を利用した椅子「PUF-Chair」や枯渇しない資源として活用が期待されている竹でできた椅子「バンブーハニカムチェア」といった独創的な作品を輩出しています。どれも素材の良さを感じられる一級品。自然を活かしたデザインの指導が受けられるでしょう。
生産工学/加工学
引用元:石田純之助の作品
http://design.art.nihon-u.ac.jp/works/junnosukeishida
青山剛昌(漫画家)、安西水丸(イラストレーター、エッセイスト)、飯田竜太(現代美術作家)、秋山具義(アートディレクター)、荒井良二(イラストレーター、絵本作家)、曽田正人(漫画家) など
教員免許、学芸員
デザイン学科のみ : 2級建築士受験資格、1級建築士受験資格(卒業後2年以上の実務が必要)
日芸には、写真学科・映画学科・美術学科・デザイン学科など、さまざまな学科があります。写真学科を卒業した方は、(株)朝日新聞出版や(株)フォトワークスと言った出版会社へ就職。映画学科の卒業生は、(株)A-1 Picturesや(株)松竹映像センターなど、アニメ制作会社や映画制作会社で働いている方がいます。美術学科卒業生は、(株)ユナイテッドアローズと言ったアパレルに勤めているようです。デザイン学科を卒業した方は、マツダ(株)やカシオ計算機(株)などの自動車・電子機器の製造会社で働いています。
日芸には就職支援が充実しているので、就職活動の時に利用してみると良いでしょう。
引用元:日藝の卒博公式Twitter
https://twitter.com/nuasotsuhaku/status/1195929602964643840?s=20
美術から映画、写真、デザイン、演劇まで、8つの学科に通う学生の卒業作品を展示。テーブルの上に並べられる小さな作品から、壁面いっぱいの大きな作品、空間を一つの作品に仕上げたものなど、学生たちの集大成が詰まっています。
マンモス校として知られる日本大学は、学部ごとにそれぞれの学園祭があります。芸術学部の文化祭は「日芸祭」と呼ばれており、毎年11月3日の文化の日を含む3日間、学生たちの制作発表の場として開催。学生のみならず、大学教職員や周辺地域住民とのコミュニケーションの場として、長年愛されている学園祭です。映像やライブ、ダンスパフォーマンス、雑誌制作など、日芸ならではのコンテンツが盛りだくさん。8つある学科の枠を飛び越え、新しく刺激的な表現方法が生み出されています。
来場者の人気を集めるのが「ミス日芸コンテスト」で、地元企業とのコラボ企画もある大きなイベントです。毎年人気アーティストをゲストに呼ぶライブも見どころのひとつ。コスプレでの参加が提案されるのも日芸祭の面白い側面でしょう。また、「新生江古田計画」と銘打った新校舎建設も注目。2021年の芸術学部設立100年に向けて、日芸は新しく生まれ変わろうとしています。
展示やステージが充実している学園祭でした。自由な雰囲気が伝わってきました
やりたいことを全力で楽しんでいる同世代の学生たち。キラキラまぶしくて胸を打たれました!
まさに芸術の秋、といった独自の展示、凝ったパフォーマンスがキャンパスいっぱいにあふれています
オープンキャンパスでは、全体企画として、模擬授業、公開講座などの体験のほか、学生生活や卒業後の進路、奨学金、入試全般についての相談を受け付けるコーナーが設けられています。
学科別の企画としては、美術学科で、絵画コースと彫刻コースの進学相談会・入試実技参考作品展示を実施。そのほか、鉄で作品を作ったり、版画を体験したり、人物・静物デッサン、油彩画、活版印刷を体験したりできるワークショップが開かれています。彫刻コースに新たに設けられる「地域芸術専攻」について、カリキュラムや進学先、小論文試験の説明会も行われます。
デザイン学科では、入試実技試験対策指導のコーナーが設けられ、鉛筆デッサンとデザインプレゼンテーションの入試実技作品を持っていくと、専任教員のアドバイスが受けられます。他には、プロのデザイナーや著名な講師陣による特別授業や、在学生による進学相談コーナー、在校生によるスケッチ・レンダリング実習、デザイン学科の施設見学なども実施されています。
芸術学部が主催するイベント、入試相談会・入試博覧会が江古田校舎にて実施されます。
入試相談会では、学部案内や入試案内などの資料配布と、学生生活や入試、就職、編入・転部試験などについての相談、映画・演劇学科の実技試験についての参考ビデオ上映が行われます。開催は芸術学部祭の開催中に実施されるので、キャンパスの雰囲気や学生が主催するイベントなども見学できます。
入試博覧会では、学科別の個別相談や、美術学科・デザイン学科の作品持参で、教員からアドバイスが受けられる、個別進学相談コーナーを実施。入試相談会と同じく、総合相談やビデオ上映なども行われます。
検定料:35,000円
募集定員 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | |
---|---|---|---|---|---|
美術学科 AO入試 | 20 | 32 | 32 | 29 | 1.6 |
美術学科 A方式 絵画コース 第1期 |
24 | 46 | 42 | 22 | 1.8 |
美術学科 A方式 彫刻コース 第1期 |
15 | 15 | 8 | 0.6 | |
デザイン学科 A方式 第1期 |
30 | 91 | 82 | 44 | 2.7 |
美術学科 A方式 絵画コース 第2期 |
3 | 23 | 20 | 3 | 6.7 |
美術学科 A方式 彫刻コース 第2期 |
3 | 2 | 1 | 0.7 | |
デザイン学科 A方式 第2期 |
8 | 36 | 26 | 8 | 3.3 |
個別学力試験 | 科目 |
---|---|
美術学科 A方式 | 国語、外国語、実技(デッサン)、面接 |
デザイン学科 A方式 | 国語、外国語、実技(デッサン、プレゼンテーション)、面接 |
美術学科 N方式 | 【選択】国語、地理・歴史、公民、数学、理科、外国語より2科目 |
※ A方式:外国語、国語と各コース専門試験で判断する方法 N方式:日本大学の統一入学試験で、実技試験は不要
江古田キャンパス | 3.4年次 |
東京都練馬区旭丘2-42-1 |
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引用元:日本大学藝術学部 デザイン学科
http://design.art.nihon-u.ac.jp/admission/exam/design-presentation2017/
全体のまとまりを意識して描かれたデッサンです。個々のモチーフを一つひとつ描くのではなく、全体のバランスを見ながらタッチや濃淡が表現されており、素材感も描き分けられています。
引用元:日本大学藝術学部 デザイン学科
http://design.art.nihon-u.ac.jp/admission/exam/dessin2017/
モチーフの存在を巧みに表現されている作品。素材を見たまま描くのではなく、一つ一つの素材の厚みや重みなどが感じられるように描かれています。物語が生まれそうなデッサンです。
引用元:宇都宮メディア・アーツ専門学校
http://www.media-arts.ac.jp/jukenka/sfs6_diary.cgi?action=cat&cat=1&year=&month=&day=&mynum=&searchword=&s=&next_page=60&max_rec=112
地面に寝転がって天空を仰ぎ見るような大胆な構図。草がのびた先には人と人が手を繋ぎ、地球の周りを囲んでいます。コミュニケーションやつながりをイメージさせる作品に仕上がっています。
デザイン学科の実技試験科目は、デッサンとデザインプレゼンテーションのいずれか1つを選択。鉛筆デッサンの課題では、対象物をしっかり見て描くことが重要になります。モチーフのプロポーションが正確に描かれているか、観察力や表現力を総合的に見て評価される傾向にあります。デッサンは基本の練習を積むことが大切です。試験時間に合わせて練習を行うことで、本番でのペース配分をつかむことができます。デザインプレゼンテーションの課題では、出題文から問題を見つける能力と解決する力を評価されます。独創性、想像力、発想力なども見られます。浮かんだアイディアを、さらに展開する練習を積むことが大切です。